令和4年3月 定例議会
令和4年3月
はじめに
令和4年度の市政運営に関し、私の基本的な考え方を申し上げ、重点施策の概要を説明します。
まず、新型コロナウイルス感染症に感染された方々とご家族の皆様に対し、心よりお見舞い申し上げますとともに、現在治療中の皆様の一日も早い回復をお祈り申し上げます。また、長期にわたり最前線でご尽力いただいている医療機関や介護・福祉施設の従事者の皆様に対し、心から敬意と感謝の意を表します。
さて、依然として新型コロナウイルス感染症の威力が衰えを見せず、感染拡大の波が繰り返す中、小郡市においても今年1月以降の第6波ではこれまでと比較にならない感染の急拡大が起き、社会経済活動に大きな影響を及ぼしています。感染拡大への対策の継続とともに、家計や地域経済への支援の必要性も高まっています。
その他にも、4年連続となった浸水被害の経験をもとに対策を進めている豪雨対策や、インター周辺の新たな可能性に向けた土地利用再編の検討、市民の皆様の利便性向上のため市役所業務をデジタル化により改革する自治体DX等の大きな課題に直面しています。
令和4年度は、昭和47年に市制施行を成し遂げてから50周年の節目の年です。これら山積する課題に対し、職員一体となり、小郡市のまちの未来に向けて全力で取り組み、将来の小郡市の繁栄につなげていきます。
今回の施政方針では、まず重点的に取り組むべき施策を述べ、さらに令和3年度中に策定を行う第6次総合振興計画基本計画骨子に沿った事業説明を行います。
Ⅰ 重点施策
それではまず、重点的な施策について、概要を説明します。
1. 新型コロナウイルス感染症対策
1点目は、新型コロナウイルス感染症への対策及び支援策です。
初めに、ワクチンの3回目接種について、2回目接種から6か月後接種を希望する方に、モデルナワクチンを活用し前倒し接種を実施しています。国から供給されるワクチンは、現在ファイザーとモデルナの2種類あり、これらのワクチン供給状況を踏まえ、今後も前倒しに取り組み、接種の加速に努めます。なお、5歳から11歳の小児のワクチン接種については、保護者の十分な理解を得て、希望者が安心して接種を受けることができる環境を整え、3月から実施します。
次に、子育て世帯への支援について、新生児を養育する家庭を支援するため、「新生児子育て応援臨時給付金事業」として小郡市独自の給付金を支給します。対象は、令和4年4月から令和5年3月末までに生まれる新生児の養育者で、令和3年度の子育て世帯への臨時特別給付金と同様、新生児1人につき10万円を給付します。これにより、感染症の拡大等で先が見通せない状況であっても、出産後の経済的な不安を軽減し安心な子育てにつながるよう支援します。
次に、市内店舗での消費喚起を目的に小郡市商工会が発行しているプレミアム付き商品券について、落ち込んだ地域経済を活性化させるため、令和4年度は発行額を通常の3倍の3億円、プレミアム率を通常の2倍の20%に拡充して実施します。また、発行額3億円のうち1億5千万円分は、スマートフォンアプリを利用した電子版の商品券とすることで、新しい生活様式である非接触型の決済システムの普及促進を図ります。
さらに、感染症の拡大・長期化に伴って売上が大きく減少している中小企業や個人事業者に対して、事業の継続・立て直しを支援するため、「事業復活応援金」を給付します。対象者は、国の事業復活支援金を受給した法人又は個人事業者とし、給付する額は、国の支援金の受給額の10分の1を支援します。
今後も、市民生活を守り経済活動を維持していくために、国の地方創生臨時交付金等も活用しながら必要な対策についてはスピード感をもって取り組みます。
2. 治水対策事業
2点目は、治水対策事業です。
小郡市地域強靭化計画において、「流域治水」の施策に連携して、内水氾濫の治水対策と浸水被害の減災対策を重点的に取組むこととしており、宝満川の支流を含めた流域全体で行う様々な対策をハード・ソフト一体で多層的に進めています。令和4年度には以下の取り組みに着手します。
まず、道路建設課と建設管理課を統合し、「都市整備課」として再編し、「河川治水・管理係」の新設を行い、必要となる河川や水路の整備を推進していきます。また、道路の新設改良部門と維持管理部門を道路係として、道路事業の効率化を図ります。
令和2年度の「災害に強いまちづくり基礎調査」において、宝満川の水位低下によって、浸水被害の軽減につながることが明らかになりました。このことから、国(河川事務所)や県(県土整備事務所)と連携を図りながら庁内関係課において宝満川の水位低下対策や内水排除対策の実現に向けた協議を行っているところであり、引き続き、支流を含めた宝満川流域の浸水被害の軽減のための効果的な施策・対策の検討を行います。
さらに、築地川排水区域において「水門・樋門上流域浸水対策検討業務」として浸水被害の軽減に実現可能な対策を検討の上、雨水幹線・公共用地貯留施設整備の優先順位づけを行います。
加えて、法司川排水区域についても「雨水流入調査」を実施します。職員による現地調査を行い、法司川排水区域へ流入する雨水の経路や水路の深さ、幅等の状況を把握し、浸水被害の軽減対策を検討します。
鎗巻川及び石原川流域については、河川改修だけでは浸水対策として限界があり、さらなる対策を講じる必要があります。そこで、計画的な河川改修の実施とともに、農業用ため池や公共施設用地を雨水調整機能として活用することで浸水被害の軽減を図るため、流域治水を踏まえた基本計画を策定します。
市内10か所の調整池については、建設から時間が経過するとともに土砂の流入や自生樹木の繁茂等により貯水力が低下するなど、機能維持が課題です。堆積土砂の排除、自生樹木の伐採・除去を進め、本来調整池が保持すべき雨水流出量の調整機能を維持します。河川の浚渫もあわせて行い、調整池と河川の間の流入・流出機能を確保することで、流域治水能力の向上を図ります。
また、雨水の河川への流れを良くするため、中央雨水幹線の断面を広げる改修を行います。さらに、水路の整備・改善や浚渫を行うことで、雨水等をスムーズに流す能力を向上・維持させ、浸水被害の軽減につなげます。
ため池の防災対策については、近年、全国的にも豪雨により甚大な被害が発生しており、国において集中的かつ計画的な取り組みが推進されていることから、防災重点農業用ため池劣化状況評価を実施します。ため池の構造機能等の状況を把握・評価することで改修の優先度等を決定し、計画的な改修を進めます。
日ごろからの備えのため、内水による浸水に関する情報や避難に関する情報をまとめた「内水ハザードマップ」を作成し、あらかじめ住宅の浸水リスクや浸水時の行動を確認できるよう活用につなげます。
「災害に強いまちづくり基礎調査」の結果を踏まえ、宝満川本流では「水をできるだけ早く流す対策」、流域においては「貯める、時間(リードタイム)をかけてゆっくり流す対策」の組み合わせにより、最も効率的な手法により内水氾濫による浸水被害の減災対策に取り組んでいきます。その中で、流域での水田やため池の保水機能の確保が効果的であることから、農地における雨水貯留の可能性について調査・研究を行います。
3. 土地利用の再編による「活力ある確かなまちづくり」の推進
3点目に、土地利用再編による「活力ある確かなまちづくり」の推進についてです。
令和3年度に「小郡市の確かな明日を創る地域活性化推進委員会」を設置し、雇用創出、生活利便性の向上等の市民生活に寄与する新たな企業・住宅誘致の検討を進めてきました。令和4年度は、この委員会の事務局機能の強化のため、専従の事務担当者を配置し、福岡県が策定した「筑後都市圏都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」に即しつつ、都市計画マスタープランの改定作業と歩調を合わせながら、地域活性化と賑わいづくりを目指した土地利用政策を最も重要な行政課題として位置づけ、その推進を図るための運営体制を充実・強化します。
令和4年度に策定を行う第6次総合振興計画基本計画では、人口減少と少子高齢化に伴う社会情勢の変化を踏まえた新しい土地利用と交通システムについて検討します。
都市計画マスタープランについては、令和5年度の公表を目指し、改定作業を進めています。急激な人口減少・高齢化の影響を踏まえた長期的な視点から将来のまちの姿を見通し、都市として発展していくためのまちづくりの方針を示すため、県とも十分に協議しながら、市民のみなさんが「住み続けたい」と思える期待感のある“まちの姿”をしっかり意識して策定します。
インター周辺まちづくり構想(案)を作成する筑後小郡インターチェンジ周辺及び味坂スマートインターチェンジ(仮称)地区は、産業系土地利用の地区計画の策定や都市計画法第34条第12号の区域指定により、既存集落の維持に繋がる施策を行ってきましたが、今後は、更に交通利便性を活かした土地利用の検討を行い、「コンパクト+ネットワーク」のまちづくりを進めていきます。また、既存集落の維持と新たな活性化を図るため、市街化調整区域内の「拠点」づくりを推進するとともに、これまでの農地から産業系土地利用の開発ではなく、本市の主要産業である農業を加えた土地利用の検討を行っていきます。さらに、インターチェンジ周辺地区の土地利用のゾーニングを行い、鉄道軸、道路軸を活用し、コンパクトで活力ある郊外部の新たなまちづくりの検討を行います。
市街化調整区域の既存集落の維持に向けて、既存集落を中心に都市計画法第34条第12号の区域指定をすることで市街化調整区域内であっても誰でも住宅等を建築することができるようになる区域指定を進めています。あわせて、移住・定住の促進については、移住・定住を誘導するために効果的な促進支援制度の調査・研究を行います。
「食と農の複合施設」構想について、モデル先行事業である観光農園や農産物直売等に代表される農地の新たな活用と「稼ぐ農業」の実現に向け、民間事業者主体の事業展開を支援することにより、農業の産業化を推し進めていきます。
4. 官民連携と自治体DX事業
4点目に、官民連携と自治体DXの推進についてです。
今般の新型コロナウイルス感染症への対応では、行政分野におけるデジタル化の遅れなど様々な課題が表面化しました。
そのため国では、デジタル庁を設置し、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」を意味する、デジタル・トランスフォーメーション、いわゆるDXの推進を自治体に対しても求め、「自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画」を策定するなど、デジタル社会の構築を進めています。
このような中、本市においてもDXの推進は喫緊の課題であり、早急に取組みを進める必要があるため、新たに官民連携・DX推進室を設置します。あわせて、国の制度や官民連携による人材派遣を活用した専門家の人員配置を行うことで、各所管課とも連携しながら、自治体DX推進体制の強化とデジタルを核とする行政経営を推進します。
そして、特に市民が行う行政手続きを見直すことで、デジタルが得意な人にはオンラインによる手続きなどを可能にし、そうでない人には窓口での手続きを簡素化するなど、いつでも、どこでも、かんたんに手続きができる市役所を目指します。
まずは、国の方針に従い、転出・転入のワンストップ化や、介護・子育てに関連する一部の手続きをマイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンラインで可能にするためのシステム構築・改修を行うほか、その他の手続きについてもオンライン化に向けて検討を行います。
また、汎用オンライン申請システムを利用することで、簡易な申込みやアンケートなどのオンライン化を推進し、市民の利便性の向上を図るほか、庁舎内部の事務の電子化や業務の効率化を進めます。
なお、DXを進めていく上では、既存業務の内容や手法などの抜本的な見直しと再構築が重要です。そのため、事務事業の業務量や手順を調査分析し、分類や仕分けを行って可視化を行います。これにより、RPAやAIなどで代替可能な業務へのデジタル技術の積極的な活用を進めるとともに、アウトソーシング、人員再配置等を検討し、業務の効率化と職員負担の軽減等を図ることで、貴重な人的資源を更なる市民サービスの向上にあてていきたいと考えています。
教育委員会においては、小・中学校に配置しているパソコン・タブレットの台数増加に伴って維持・管理に専門的な知識が要求されることから、情報システム支援員を民間委託により配置し、システム管理業務の安定的な継続を図ります。
マイナンバーカードについて、国は令和4年度末までに全国民のほとんどが取得することを目標に掲げていますが、小郡市では令和4年1月末の普及率は約39%で、カードの未取得者は約3万6千人となっています。マイナポイント第2弾の申込みが令和4年1月から開始され、マイナンバーカード申請の増加が見込まれるため、マイナンバーカードの申請補助、交付、マイナポイントの申請補助などを行うマイナンバーカード総合支援窓口を市役所北別館に令和4年3月中に開設します。また、申請方法がわからない方や、市役所まで来られない方のために、各種サークルや市民団体、事業所等へ職員が出向き、マイナンバーカード申請補助を行うことで、さらなる普及促進を目指します。
農業分野においては高齢化等による後継者不足が課題であり、その対策の一つとして、農業委員会で国事業「情報収集等業務効率化支援」を活用してタブレット端末を導入し、農業委員が農地の出し手・受け手の情報を一元管理することで、認定農業者や営農組織へ農地の集積・集約化を進めます。
デジタル化の進展に対応する新たな機能を備えた新庁舎の建設については、PPP/PFI手法による整備方法のあり方を調査・研究します。
新給食センターの整備について、令和3年度に実施した官民連携手法導入可能性調査結果を受け、PPP/PFI手法導入を決定しました。令和4年度から令和5年度にかけ事業者を選定し、令和6年度から設計・工事に着手するよう事業を進め、早期整備を目指します。
小学校給食の調理業務の民間委託について、平成29年度から小郡小学校において試行を行い、その効果を踏まえて令和2年度から小郡小学校、三国小学校、のぞみが丘小学校の3校において民間委託を実施しています。新たに、令和4年度からは大原小学校、令和5年度からは東野小学校において民間委託を実施します。
5. 市制施行50周年
5点目に、市制施行50周年についてです。
小郡市は、昭和47年4月1日の市制施行から、令和4年4月1日で50周年を迎えます。この記念すべき市制施行50周年を新たなまちづくりの始まりと位置づけ、市民の皆様が関心を抱き、市全体で盛り上げることを目指して、11月3日、文化の日に市制施行50周年記念式典を開催します。
また、昭和47年の市制施行時に制定された「小郡市民のことば」を改定し、新たに市民公募により市制施行50周年に向けた「(新)小郡市民のことば」を募集します。
さらに、市全体として市制施行50周年を記念する市民の機運を醸成していくため、様々な冠事業を実施します。
○スポーツ・フェスタ
これまでの「ふれあい運動会」、「ジュニアスポーツフェスティバル」及び「スポーツレクリエーション祭」を新たな形式に変えて企画・実施します。ジュニア、ファミリー、シニアから幅広く参加を募り、スポーツでつながるまちづくりを推進していく機会とします。
○新市民まつり
「おごおり市民まつり」は、令和元年度に市民主体の実行委員会を立ち上げ企画してきましたが、新型コロナウイルス感染症等の影響により3年続けて中止を余儀なくされました。市制施行50周年を記念した市民まつりのあり方については、今年に入り市民の皆様と座談会を開催し、議論を深めています。いただいた貴重なご意見をもとに、50周年にふさわしい「新市民まつり」を検討していきます。
○民学連携「プログラミング授業支援事業」
小学校の新学習指導要領において、コンピュータの仕組みを理解するためのプログラミング教育が導入されたことに伴い、市制施行50周年を機に地元企業と連携したプログラミング授業支援事業を全小学校で実施します。ロボットを活用して身近にプログラミングを体感することで、児童の興味・関心を高めることを目指します。
○官民連携「青少年人材育成事業(小郡寺子屋)」
社会の変化に対応できる将来の地域リーダーを育成するため、市内の青少年を対象に研修事業を実行委員会形式で実施します。市制施行50周年を機に民間と連携して経営者の視点を学ぶ機会を企画し、自己の考えを互いに伝える経験を積むなどすることで、志高く協調性をもって社会問題に取り組むことができる人材の育成を図ります。
○野田宇太郎文学散歩70年事業
市制施行50周年とあわせ、小郡市出身の野田宇太郎が「文学散歩」の新聞連載を開始してから70年となることを記念し、野田宇太郎文学賞の募集を行います。「文学散歩」の創始者である野田宇太郎と小郡ふるさと文化大使の帚木蓬生氏の両氏の名を冠した賞を設け、文学の魅力の再発見につなげます。
○市民提案型協働事業
市と協働して行う市民活動を助成する「市民提案型協働事業」について、令和4年度は、協働事業補助とスタート応援補助の募集に加えて、市制施行50周年を市民が盛り上げる事業を募集します。
さらに、市制施行50周年と連携して次の各種計画及び制度を整備し、新たなまちづくりを推進します。
○令和3年度中に策定を行う第6次総合振興計画基本構想及び基本計画骨子に基づいて、令和4年度には令和5年度から令和8年度のまちづくりの指針となる基本計画の策定を行います。
○令和2年度から進めてきた市民主体のまちづくりを推進するための条例について、市制施行50周年となる令和4年度中の制定に向けて、条例作成委員会の開催や広く市民と共有するためのワークショップやフォーラム等を実施します。
○インターネット上の人権侵害に対し必要な対策を実施するための条例を制定します。スマートフォンやSNSの普及により、誰もが簡単に情報の受発信ができるようになった一方で、誹謗中傷や差別書込等の人権侵害は深刻です。条例によって基本施策を定め、インターネット上においても人権が尊重される社会の実現を図ります。
○都市計画マスタープランは、まちのあるべき姿とその実現に向けたまちづくりの方針を示す計画として、市民のみなさんの意見を反映したまちづくりの具体性ある将来ビジョンを確立し、地区のあるべき「まち」の姿を定めるものです。そこで、市民意向を把握するため、パブリックコメントの実施はもとより、市民アンケート調査やワークショップにより、多様な意見を募り、実効性のある計画策定を進めます。
Ⅱ 第6次総合振興計画の主要事業
ここからは、第6次総合振興計画(骨子)に沿って、主な事業概要を説明します。
1. 安心して住み続けられるまちづくり
近年、多発する記録的な豪雨等に対応するため、各地域の防災力を高めるとともに国や県と連携して、流域治水等のハード・ソフト両面から施策を推進します。また、地域では担い手不足や高齢化といった課題があり、持続可能なまちの実現に向けて、市民が自主的・主体的にまちづくりに関わり、多様な市民が担いあうまちづくりを進めます。
新体育館建設について、平成29年3月に策定した小郡市新体育館建設基本計画では、一定規模の大会が開催できる体育館の整備が位置付けられました。その後の検討において、財政負担や防災拠点施設としての機能も備えた多目的化の視点から、規模を縮小すると同時に豪雨等の災害時に避難所等として対応できるよう見直しを進めています。令和4年度は、「市民が活動の主体となる新体育館の建設」を全体のコンセプトとして、小郡市新体育館建設基本計画を改訂し、整備方針・施設規模・建設地等を決定し、基本設計等に繋げていきます。
久留米広域消防本部の「消防体制整備計画」に基づき、三井消防署庁舎の建替えについては令和4年度から6年度にかけて整備を行っていくことで検討が進められています。本市としては、老朽化した消防署の建替えにより消防力の向上を図るとともに、近年頻発する災害等にも対応できる防災拠点としての機能が強化されるものとなるよう、久留米広域消防本部や関係市町と協議を行っていきます。
消防庁では、全国的に減少を続ける消防団員数の確保を促進するため、消防団員の処遇改善を図る「消防団員の報酬等の基準」を定めました。本市においても消防団員数が定員に達していない状況が続いていることから、令和4年度から団員の報酬・費用弁償及び団・分団の活動・運営費等の見直しにより消防団員の処遇改善を図っていくこととしており、これにより、地域の防災力の強化と消防団員の確保につなげていきます。
各校区協働のまちづくり組織に対して交付する「協働のまちづくり推進事業支援金」について、これまでは事業補助金と運営交付金で区分して交付していましたが、最低限のルールを定めつつ、一定の柔軟性を確保して一本化するとともに、積算の見直しを実施します。
行政委嘱事務について、令和2年4月1日の地方公務員法の改正をきっかけに見直しを進め、令和3年度より区長の身分を非常勤特別職の公務員から私人に変更し、事務の内容や区長謝金に関する協議を行ってきました。よりよい制度の運用にむけて、令和4年度も引き続き区長の皆様と協議を行います。
のぞみが丘校区コミュニティセンターについて、小学校内に設置している「社会教育とまちづくりの中核施設」として位置づけており、これまで学校を中心とした地域づくりが進められてきました。しかし、学校施設内にあるがゆえの課題もあり、利用について検討が必要な状況です。今後、検討委員会やワークショップを開催し、広く地域の皆様のご意見をいただきながら「子どもも大人も育ち合う」学社融合型施設のあり方について調査・検討を行います。
2. 地域資源を生かした活力あるまちづくり
高齢化の進展を始めとする社会や地域の状況変化に対応した長期的な視点をもち、地域公共交通の充実、持続可能な土地利用、交通利便性を生かした産業活性化に取り組みます。
公共交通について、コミュニティバスの運行効率が低くなっていた立石ルート及び御原・味坂ルートを休止し、立石・御原・味坂校区において、令和3年10月から予約乗合制のデマンド型交通である「おごおり相乗りタクシー」の導入実証実験を行っています。令和4年度は、10月の本格導入に向け、利用者の利便性向上と更なる利用促進のため、運行方式の見直しを進めます。
また、運行効率の低下しているコミュニティバスの他のルートについても、新たな交通モードの導入等を含め、高齢者等の交通弱者に配慮した利便性が高く将来にわたり持続可能な公共交通体系の構築について検討を進めます。
さらなる交通利便性向上のため、九州自動車道鳥栖ジャンクションと久留米インターチェンジとの間に新たに設置する(仮称)味坂スマートICについて、令和5年度中の完成に向けて引き続き関連事業を推進していきます。
3. 支え合い健やかに暮らせるまちづくり
少子高齢化の進展が見込まれ市民の福祉ニーズが多様化する中、誰もが健康で安心して、いきいきと暮らせるまちづくりを目指し、身近な地域でつながり、支え合う地域福祉を推進します。また、安心して子育てができるように、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行います。
「高齢者の保健・医療・介護の一体化事業」について、健康寿命を延ばしていくため、75歳以上の高齢者の健診・医療・介護のデータを分析し健康課題を整理した上で令和3年10月から「生活習慣病の重症化予防」や「フレイル予防」等の取り組みを開始しています。具体的には、高いリスクを抱えた高齢者を対象として、糖尿病の重症化予防を目的とした保健指導を実施しています。また、要介護リスクの高い疾患を抱えた高齢者等を対象として、各校区コミュニティセンターにおいてフレイル予防に関する「健康講座」や「健康相談」等を実施しています。今後は、健康状態が不明な高齢者へのアプローチを行うなど、さらに取り組みを充実させていきます。
高齢になってもいきいきと生活し、また、支援や介護が必要になっても可能な限り住み慣れた自宅や地域で安心して暮らすため「地域包括ケアシステム」の更なる推進を図ります。「医療」「介護」だけでなく、地域で行われる「生活支援・介護予防」も重要となることから、住民主体で運営し、おおむね65歳以上の高齢者を対象とした介護予防に資する「通いの場」への運営助成を拡充させていきます。これにより、人と人とのつながりを通じて、参加者や通いの場が継続的に拡大するような地域づくりを推進します。
また、「高齢者健康づくり(介護予防)ポイント事業」を令和4年度に試行的に開始し、介護予防に資する取り組みにポイントを付与・還元できる仕組みづくりを行うことで、コロナ禍で外出自粛等の影響を受けている高齢者の社会参加につながる機会の促進を図ります。初年度は、高齢者を対象とし、生きがいづくりや介護予防の推進、地域におけるボランティア活動を支援し、高齢者を支える担い手の確保を目指します。
骨髄等移植ドナー助成について、骨髄等の提供者に対して助成金を交付することで、骨髄等の提供を行いやすい環境を整備し、骨髄ドナーの経済的負担の軽減や、骨髄等の移植の促進を図ります。また、骨髄移植後定期予防接種助成事業については、白血病等の治療で実施された造血細胞移植後に、それまでに接種した定期予防接種の獲得免疫が消失又は低下した方に対して、感染症の発症予防と経済的な負担軽減のために治療以前に接種をした定期予防接種の再接種費用の助成を行います。
3歳児健康診査における視覚検査は、絵視標による視力検査と問診を行うことで斜視や弱視を発見するスクリーニングを行っていますが、より精度を高めるため、新たに屈折検査機器を導入します。これにより、弱視等の早期発見につなげます。
多胎妊娠の妊婦健診費用の助成について、令和4年度から新たな助成制度を開始します。これまで、小郡市では妊娠した方に対して、母子健康手帳交付時に妊婦健康診査費用助成を行う補助券を14回分発行しています。多胎妊娠の方は、頻回な妊婦健康診査が推奨されているため、健診の回数が多くなります。多胎妊婦の方が安心して子どもを産み育てることができるように、令和4年度からは、14回の補助券を全部使用した方へ、一回5,000円、5回を上限に助成を追加します。あわせて、相談体制の充実に引き続き取り組んでいきます。
4. 未来社会につなぐ人づくり
未来を担う子ども達が、自分たちの住む地域の良さを実感し、地域への愛着や郷土愛を深め、志を高めて主体的にまちづくりに関わっていくことができるよう地域の特色を生かします。小・中学校では、自律的・協働的に社会を生き抜いていくことにつながる教育の実現とともに、ICT等を効果的に活用した主体的な学びの具体化を進めます。
立石小学校と立石中学校での9年間一貫教育の先行モデル事業として、立石小5年生と6年生の児童を対象とするオンライン英会話授業を実施し、英語教育を軸にした小中連携と一貫教育のあり方を探ります。
GIGAスクール事業を推進し、新学習指導要領において学習の基盤となる資質・能力と位置付けられている「情報活用能力」を児童生徒に育みます。
ICT機器を正しく効果的に活用して、課題解決を図りながら主体的に生きる力を育む児童生徒の育成を図るため、児童生徒及び教職員のICT機器活用をサポートするICT支援員を派遣するとともに、授業支援ツール・学習用ドリルアプリを導入します。また、タブレット端末や校内通信環境について、安定的な利用が継続できるよう維持・管理に努めます。
授業の内容が高度化・複雑化する小学校中学年以上において、教科指導の専門性をもった教師が授業を受け持つ交換授業や教科担任制の取組を推進し、授業の質を向上させることで、児童の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ります。併せて、チーム学校の考え方による業務の効率化を進めます。
小郡幼稚園は、これまでの園の実践を強みとして、地域の子育て支援センター的機能及び地域の教育センター的機能を拡充し、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる場を設置します。また、発達に課題を抱える児童の相談等が増加している状況から、保護者の子への理解を深め、楽しく子育てに臨む自信をつけることを目的とした事業の拡充を図ります。
新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く保育士・幼稚園教諭、放課後児童支援員等の処遇改善について、国の経済対策に基づき、収入の引き上げを行い、雇用の安定と人員確保につなげます。
御原小学校においては、今後、児童数の増加や35人学級の実施に伴って学級数が増加し教室が不足する見込みであるため、校舎を5教室増築します。
陸上競技場の第2種公認について、現在の公認の有効期限を迎える令和6年2月に向けて競技場のあり方を検討します。本市のスポーツ振興において陸上競技場が果たしてきた役割や意義に加え、アンケート調査を実施することで市民のニーズを把握し、検討に生かします。
電子図書館について、情報のデジタル化の進展とともに、コロナ禍において非来館でのサービス提供が可能なことから全国的にも導入が進んでいます。公共図書館においては、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)に基づき、すべての市民が障がいの有無にかかわらず等しく読書を通じて文字・活字文化の恵みを享受できるように努める必要があります。誰でも、どこでも、より便利で身近な図書館の実現のため、久留米広域連携中枢都市圏において広域連携サービスとして電子図書館の共同運用を検討します。
5. 持続可能な行政経営体制づくり
市民への行政情報の提供と公開を一層進め、市民のまちづくりに対する参画意識の向上を図るとともに、市民とともに進めるまちづくりを推進します。厳しい状況が見込まれている財政見通しについては、人件費、扶助費、公債費等の経常経費の支出割合が高く、それに加えて公共施設更新や感染症対策などの課題を抱えており、「健全な行財政運営」に向け、対策の充実を図ります。
ふるさと納税について、引き続き寄附の拡大や市の魅力発信に努めます。また、ふるさと納税を活用して、クラウドファンディングのような形で市民団体の取組みを支援する仕組みづくりを進めます。あわせて、小郡市内に進出している企業へのトップセールスをはじめ、企業版ふるさと納税支援業務を行っている民間サービス等を活用しながら、「企業版ふるさと納税」を積極的に推進します。
本市の財政状況は、経常収支比率が高止まりの状況にあることから、歳入財源が限られる中、新たな事業を実施するためには、既存の事務事業の必要性や効果を検証し、重要度や緊急度に応じて優先順位付けを行い、事業効果や必要性の低い事業については見直すことが必要となっています。
そのような中、平成30年度から導入した枠配分予算により、最も効果的・効率的な事業手法への変更、事業の重要度や緊急性に応じた優先順位付けによるマネジメントを行いながら、職員の創意工夫による事務事業の見直しを行っていきます。
また、事務事業においては、ロジックモデル(論理展開)を明確化するとともに、サンセットの視点に立った見直しについても検討を行っていきます。
本市の財政状況は、人口減少や少子高齢化の影響等により社会保障関係経費の増加や市税収入の減少など依然厳しい状況が続くことが予測され、決して楽観視できるような状況ではないことから、今後も引き続き、緊急財政対策計画に基づく財政健全化に取り組みます。
おわりに