Web市長室

更新日: 2019年4月11日

平成31年3月 定例議会

平成31年度施政方針

平成31年3月
 

1 はじめに

 平成がまもなく終わり、新しい時代の到来を迎えます。地方自治体にとって、平成は大きな変化の時代でした。明治の廃藩置県から150年の間、国と地方が上下の関係であったものが、地方分権一括法により国と地方が平等の立場と変わりました。これは、地方のことは地方が決めるという積極的な分権推進と、国からの地方自治体への支援の切り離しとが、表裏一体となっているとも言えます。
 団塊世代が後期高齢者に移行する2025年問題、人口急減による労働人口の減少や自治体維持が困難になるとされる2040年問題を控え、小郡市もそうした厳しい時代への準備をしていかなければなりません。
 これに対して、就任からその処方箋として掲げているのが「つながるまち小郡」です。
 「つながるまち小郡第1ステージ」である市民との対話に基づいた市政運営は、各地での対話集会開催、主な事業についてのサービスチェック実施、各種計画づくりへのワークショップ開催と、市民との「情報共有」、「共感」、そして、「協働(共働)」へと、市民起点の市政運営へ基盤が出来つつあるといえます。
 「つながるまち小郡第2ステージ」は、市民のみなさまとの契約であるマニフェストに基づいた「つながるまち小郡アクションプラン」の着手ですが、財政問題が大きな課題となっています。しかしながら、既存の事業の見直しをするビルド&スクラップを中心に推進していく考えです。
 これまでは、社会保障経費や市民サービスの多様化など、非常に厳しい財政状況の中、実施計画に位置付けられた大型事業を優先してきた反面、老朽化が著しい公共施設の補修等が先送りされてきた現状もありました。
 こうした状況を生み出した原因は、事業ごとの予算要求を積み上げていく方法を取っていたことにあると考えています。
 そこで、部署ごとに一定財源枠の中で事業を取捨選択する予算編成を行う方法に変更し、職員の財政に対する意識を変える取組を行い、31年度予算は経常的な事業を中心に、各課の予算はかなり絞り込む作業をしてきました。しかしながら、私が引き継ぎました3カ年の実施計画に位置付けられている投資的な大型事業は、国や県の補助申請や地権者など関係者との信頼関係から、途中でストップをかけられないため、31年度の予算編成においても、大きな基金の取り崩しをお願いしなければなりません。そこで、32年度からは、市民のみなさまにもご理解をいただき、財政均衡をはかる財政改革に着手しなければならないと考えています。
 その一方で、自主財源の確保策として、ふるさと納税の取組を強化してきました。特産品がないから難しいとされてきたふるさと納税を、この2年間で約15倍となる3億2千万円を超えるほどまで成果を上げてきています。(一社)小郡市観光協会や市内の農業や商工業事業者のみなさまが、小郡市のためにと気持ちをつなげていただいたことによる成果です。今後の新規事業、とくにソフト事業の新規展開は、このふるさと納税の活用を基本に、取り組んでいけるものと考えています。
 また、予算をかけなくてもできる民間の力とつながることによる事業も推進してきました。大学との連携による観光まちづくり提言づくりや、防犯カメラ設置支援のための自動販売機の県内初導入、児童の安全な登下校管理のためのツイタもん市内一斉導入など、ほかの自治体から注目をされる事業を展開してきています。こうした民間との連携もより推進していく考えです。
 地域とのつながり協働活動も重視しています。区長をはじめ活発に行われている行政区の活動や、小学校区単位での地域課題に積極的に取り組んでいただいているまちづくり協議会の活動は、災害時の備え・訓練活動や、健康寿命を延ばす体操教室、認知症の不安に対応するカフェ事業、買い物弱者を支援する活動など、行政だけでは課題解決ができない活動が活発に取り組まれています。こうした地域との協働をより高い意識で取り組んでいきます。
 また、専門家による地域人材の種まきやネットワーク化により、小郡市の魅力を発信したいというグループ、地域特性や歴史を生かしたソーシャルビジネス、あるいは自分の趣味や経験を生かしたスモールビジネスを興したいという個人やグループなど…行政には頼らない、自立的な頼もしい動きが次々と萌芽しています。
 厳しい財政状況下ではありますが、新しい時代を迎え、「つながるまち小郡」を大きく前進させる新しい年度となりますように、議員をはじめ市民のみなさまの協力をあらためてお願い申し上げます。
 

2 平成31年度の重点施策について

 それでは、平成31年度の重点的な施策を、「第5次小郡市総合振興計画」の6つの政策目標に沿って、その概要をご説明します。
 

Ⅰ「安全で快適な都市機能・都市基盤づくり」

○1点目は土地利用についてです。
 今後、人口減少・高齢化社会を見据えたコンパクトなまちづくりを推進していく必要があります。更に人口が減少していく市街化調整区域につきましては、都市計画制度を活用した地区計画の策定、福岡県条例に基づく都市計画法第34条第11・12号による区域指定により集落の維持を図ります。
 一方、市街化区域においては、コンパクトなまちづくりの施策として立地適正化計画の策定を行い、住宅及び医療、福祉、商業その他の関連する施設の誘導を図ります。
 また、利便施設及び市街化調整区域を含めた既存集落への公共交通の結束を行い、更なる都市基盤づくりを行います。
 次に、産業系の土地利用についてです。
 近年、本市の交通利便性を生かした土地利用として産業系土地利用の需要が高まっています。
 筑後小郡インターチェンジ周辺、主要地方道久留米筑紫野線沿線及び鳥栖ジャンクション周辺地区等については、小郡市の工業、流通業務の拠点として、更に誘導・集積を進め、地域の活性化に繋がる企業誘致を行うことで、雇用創出も可能となります。
 また、既存の企業等につきましては、維持、発展を図る都市計画制度の活用に取り組みます。
 
○2点目は道路・交通網についてです。
 31年度の主な事業は、主要地方道の県道久留米筑紫野線バイパス4車線化事業のほか、宝満川左岸の県道本郷基山停車場線などの県事業と市の事業である市道下町・西福童16号線、市道三国・大保原5079号線東野校区道路改良事業、市道干潟・花立102号線道路改良事業です。
 また、九州道(鳥栖―久留米IC間)に新たに設置する、味坂スマートインターチェンジ(仮称)の早期完成に向け取り組みます。
 その他、道路舗装事業、道路維持補修事業や交通安全施設整備事業といった生活道路の整備充実を引き続き進めます。
 コミュニティバスにつきましては、4月に改正を予定しています。また、地域の実情、多様化された市民ニーズ及び利用者の実態調査の結果等を踏まえながら、特に高齢者をはじめとする交通弱者の生活交通手段としての役割を果たせるよう、地域公共交通活性化協議会の中で議論を進め、コミュニティバスの抜本的な見直しを行います。
 併せて、鉄道など他の交通手段との役割分担や連携、補完的な役割としての新たな交通体系の実証実験を行い、市民の生活交通手段の確保という視点から、今後の市全体の公共交通体系の方向性について検討します。

○3点目は交通安全・防犯対策についてです。
 地域における交通安全や防犯などの活動を行う各種団体の活動支援を行い、見守り活動の活性化に努めます。
 31年度におきましても、行政区で設置する防犯灯の設置費用の一部を助成し、地域における防犯対策を強化するとともに、省電力で長寿命な防犯灯のLED化を継続して進めます。
 さらに、犯罪の抑止及び地域住民の不安解消を図り、市民のみなさまが安全で安心して暮らすことができる地域づくりを推進するため、民間と連携し、防犯カメラシステム支援自動販売機の導入による防犯カメラの設置を進めます。
 また消費者被害を防ぐため、消費者に対する教育、啓発活動を継続的に進め、同時に消費者の立場に立った消費生活相談窓口の維持・強化に努めます。

○4点目は、消防・防災・国土の保全についてです。
 平成30年7月豪雨から見えてきた課題に対応するため、地域防災計画など各種計画の見直しによる災害対応体制の再構築を行うとともに、市職員の災害対応能力の強化と防災意識の向上を図るため、災害対応訓練を継続して実施します。
 また、地域防災力の強化を図るため、自主防災組織の活動がさらに活性化されるよう支援を行うとともに、地域における防災リーダーの養成を促進し、地域防災力の核となる人材の育成を図ります。この人材育成を図ることにより、自主防災組織を中心とした地域住民のみなさまの「自助」、「共助」による避難行動要支援者の避難支援の体制づくりを進めます。
 さらに、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」に基づき、安定的な消防団活動のため、幅広い啓発等による団員確保に努めるとともに、地域防災の要である消防団活動の充実・活性化を図ります。

○5点目は、情報通信基盤についてです。
 クラウド技術を活用した基幹系システムをはじめ、導入システムの安定稼働に努めるとともに、システムの利活用についても検討を進めます。
 

Ⅱ「豊かな暮らしを支える活力ある産業づくり」

○1点目は農業についてです。
 小郡市が目指すべき食料・農業・農村の姿として、小郡市食料・農業・農村基本計画に掲げる各施策目標の達成に向けて取り組みます。
 また、食と農の複合施設が、本市に賑わいをもたらすものとなるよう、市民のみなさまと話し合いを進めていくと共に、新たな農業所得向上の手段として、6次産業化や農商工連携の研究を進めます。
 さらに、地域の共同活動によって支えられている農業の多面的機能の維持・発揮を支援する多面的機能支払交付金事業を継続して活用し、地域活動や営農活動を推進します。
 農業環境の整備につきましては、ため池整備や井堰の改修等による防災対策を図ります。また、老朽化した県営施設につきましては、長寿命化の取り組みを図りながら安定的な農業用水の確保に努めます。

○2点目は商業についてです。
 市内における消費を喚起する「地域商品券発行事業」に対する支援や市内で新たに起業する新規創業者や創業希望者への支援など、地域の商業活性化を目指して、商工会と連携して取り組みます。
 また、29年度から30年度にかけて小郡市商業活性化協議会が実施した商業活性化ワーキング会議の議論を発展させ、西鉄小郡駅前を中心市街地として地域ぐるみでまちづくりを考えるために市民や事業者等の機運醸成を図り、立地適正化計画と合わせて「中心市街地の活性化に関する法律」に基づく「中心市街地活性化基本計画」を策定することについて検討します。

○3点目は工業についてです。
 市の東西に位置付けております工業等の導入地区については、鳥栖インターチェンジを併設する鳥栖ジャンクション、筑後小郡インターチェンジ及び主要地方道久留米筑紫野線といった交通利便性から、物流系企業の立地が進められています。引き続き、工業・物流系企業を中心に、その他、幅広い分野の企業誘致も視野に、当該地区への民間開発の誘導に積極的に取り組みます。
 さらに、日々変化していく技術革新の時代に直面する中で、既存施設を含む市内企業の事業活性化に向け、生産性向上に係る支援制度の活用を促進する等、効率的な事業推進を図ります。

○4点目は観光についてです。
 (一社)小郡市観光協会との協力や地域おこし協力隊の活動により、地域資源を活かした観光事業等を展開し、魅力ある観光づくりを進めるとともに、市内外への本市の魅力発信の更なる充実を図ります。
 また、観光協会をはじめ、商工会、JAみいなどの関係団体との連携により、地域資源を活かした特産品づくりに取り組みます。
 さらに、小郡市のあらゆる資源の活用を、観光だけでなく農業や商工業などの産業分野にも広め、「にぎわい」をコンセプトに、市全体を「七夕」のイメージでブランディングする活性化事業「七夕プロジェクト」については、市民の積極的な参画による「七夕」を活かしたイベントや商品開発、情報発信などの取り組みを強化します。

○5点目は雇用と労働についてです。
 ふるさとハローワークや県などの関係機関と連携し、就職支援セミナーの開催などの就業、マッチング支援や雇用、労働に関する相談窓口の情報提供などを行いながら支援に努めます。
 さらに、企業誘致の推進や新たな活力となる創業者支援等により、就業機会の創出に努めます。
 

Ⅲ「ゆとりと潤いに満ちた居住環境づくり」

○1点目は環境衛生対策・環境保全についてです。
 市民のみなさまの、生活の安全と良好な住環境を確保するため、公有地において刈り取った雑草の処理については、焼却処分せずに堆肥化し、ごみ減量、リサイクル推進及び地球温暖化防止に資するよう努めます。
 また、福岡県の地球温暖化防止活動推進員と協力しながら、省エネ・節電の取組と啓発を通じて、地球温暖化対策を進めます。
 そして、環境衛生組合連合会などの団体や、市が委嘱するごみ減量リサイクルアドバイザー、ごみを排出する事業者と協力し、リデュース・リユース・リサイクル(発生抑制・再利用・再資源化)の3Rの取り組みを推進し、資源循環型社会の確立を目指します。

○2点目は、公共下水道事業についてです。
 31年度は、立石区、井上区、今隈区、光行区、下西区、八坂区で、引続き下水道未普及地区の整備を進めます。また、浸水対策についても、引続き、正尻川雨水幹線と影堤雨水幹線の改修を進めます。
 併せて、供用開始区域内の下水道への未接続者に対する接続推進に努め、下水道普及率、水洗化率の向上を図ります。

○3点目は、小郡市営住宅についてです。
 『小郡市営住宅長寿命化計画』に基づき、耐用年数を経過した井上第2住宅、若山住宅を平成32年度の入居目標に、統合建替えを行うため、31年度につきましては、建築工事を進めます。

○4点目は、空き家の利活用についてです。
 居住環境づくりのひとつとしまして、「空き家の利活用」があります。30年度より「空き家バンク」制度を導入し、空き家所有者との個別相談と空き家バンク登録を進めています。31年度につきましては、登録物件に対し新たに購入・改修・新築等に際しての補助金を創設し、空き家住宅の利活用を推進します。
 

Ⅳ「やさしさあふれる健康と福祉づくり」

○1点目は地域福祉の推進についてです。
 小郡市地域福祉計画に基づき、障害の有無や年齢にかかわらず、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、地域における各福祉分野でのサービスの一層の充実と利用促進を図ります。
 また、地域福祉推進の中核的な存在である社会福祉協議会が策定しました小郡市地域福祉活動計画の推進につきましても、ふれあいネットワークの推進と合わせて、連携・協力を図りながら支援します。
 更に、社会福祉協議会や民生委員児童委員をはじめ、地域における福祉活動の担い手に対する支援を充実させるとともに、地域住民やボランティアなどが、それぞれの役割や特性を活かしながら、地域福祉推進の主体として参画できる地域社会づくりを推進します。
 併せて、自治会バスなどの買い物支援対策につきましても、地域のニーズに合った支援策に取り組みます。
 31年度は民生委員児童委員の任期満了に伴う一斉改選の年です。区長や民生委員児童委員のみなさまの意見をお聞きしながら、候補者の選出に努めます。
 また、第2次小郡市地域福祉計画・小郡市地域福祉活動計画の策定に向けては、30年度に実施したアンケート調査やワークショップなどの各種調査結果を踏まえ、市民も参画したプロジェクト会議での議論により、市民の声を反映した計画づくりを進めます。

○2点目は、高齢者福祉についてです。
 第7期高齢者福祉計画・介護保険事業計画の基本理念である「地域と共に高齢者を支えるまちづくり」に基づき、高齢者になってもいきいきと生活し、また、支援や介護が必要になっても可能な限り住み慣れた自宅や地域で、安心して暮らすことができるよう、地域包括ケアシステムの構築により一層努めます。
 高齢者やその家族を地域ぐるみで見守りながら、高齢者自らが進んで社会参加できるように、事業者や住民等のさまざまな主体が参画し、多様なサービスを充実させた地域全体での支え合いの体制づくりを目指します。
 さらに、「認知症にやさしいまちづくり」の一環として、三国地区に開所した認知症カフェ「三国カフェ」での情報の発信に努めると共に、地域との協働事業としてコミュニティセンターを活用した「認知症カフェ」の展開に取り組みます。また、小学校での認知症サポーター養成講座を継続し、子どもたちに認知症への正しい知識と理解をひろげます。
 また、支援の必要な方の在宅生活を支えるための「在宅医療・介護連携支援センター」を小郡三井医師会に委託し、多職種による連携のとれた支援に努めます。

○3点目は、子育て支援についてです。
 31年度は小郡市子ども・子育て支援事業計画(第2期)を策定することにより、32年度以降の子育て支援施策の基本方針を定め、すべての子ども達が笑顔で成長していくために、子どもの健やかな育ちと保護者の子育て支援を地域全体で支援する取組みを進めます。
 教育・保育事業につきましては、私立幼稚園の認定こども園への移行支援を行い、就学前の施設の拡充を図るとともに、課題となっている保育士不足につきましては、保育士就職ガイダンスや潜在保育士研修、保育士就職支援金など様々な取組みにより、保育士の確保に努めます。
 増加する学童保育の児童や、小学校高学年の利用者を受け入れるために、31年度に小郡校区と東野校区の学童保育所の増設を行います。また、保護者の負担軽減のため、学童保育の運営について新体制への移行に向けた支援を引き続き行います。
 
○4点目は、障害者福祉についてです。
 30年度に策定します第3期小郡市障がい者計画に基づき、障がい者をとりまく様々な障壁を解消していく取組みを進めます。また、近年増加が著しい障害福祉サービスに対応するべく、サービス提供の質、量の確保に努め、障害福祉施策を充実させていきます。特にニーズが高い放課後等デイサービスをはじめとした障害児通所施設給付等事業に関しては、今後、自立支援協議会をはじめとした障害福祉事業者との連携強化を図り、適切な給付に努めます。
 さらに、30年度に拡大した発達障害巡回相談事業と共に、発達障害が疑われる児童の受け皿になる「きらきら教室」により、発達障害の早期発見・早期療育に取り組みます。
 また、30年度に子育て支援課に設置した、発達に関する相談も含めた子どもの総合的な相談窓口である、子ども総合相談センターにおける相談機能の充実を図り、必要に応じて関係機関と連携するなど、切れ目のない継続した支援体制に取組みます。
 
○5点目は、人権・同和対策についてです。
 市民一人ひとりの人権が尊重される明るく住みよいまちづくりを目指して、第2次小郡市人権教育・啓発基本計画に基づきながら、総合的かつ計画的に人権・同和行政を推進します。
 人権教育・啓発推進法や部落差別解消推進法、そして30年3月に改正した小郡市部落差別撤廃・人権擁護に関する条例等を踏まえ、関係機関・団体と連携しながら、より一層の人権教育・啓発を推進します。また、依然として厳しい部落差別が存在することを踏まえ、地域住民の生活の安定と福祉の向上を図るため、生活実態の把握に努めながら、教育・就労・健康等の課題解決に向けて、引き続き取り組みます。
 さらに、人権が侵害された場合における被害者救済のため、一日も早い「人権侵害の救済に関する法律」の制定に向けて取組を進めます。
 
○6点目は保健活動についてです。
 総合保健福祉センターあすてらすを保健活動の拠点として、健康の保持・増進や疾病の予防・早期発見に努め、生涯にわたる健康づくりを推進します。
 子育て関係部署との連携を行いながら、産後ケア事業をはじめとした母子保健事業の充実に取り組みます。
 生活習慣病に関しましては、特定健康診査・保健指導の受診率向上に努めるとともに、早期発見・早期治療を強化するために、若年者健康診査の対象年齢の引き下げを行います。また、新たな健康運動教室を開催し、住民コミュニティによる健康づくりを進めることで、健康づくり実践のための環境整備を推進します。
 併せて、第2次健康増進計画・第2次食育推進計画(おごおり健康・食育プラン)に基づく施策目標の達成に向け、健康づくり及び食育の取組みを進めます。

○7点目は医療体制についてです。
 子ども、重度障害者及びひとり親家庭等並びに未熟児養育医療に対する医療費助成を引き続き実施します。
 31年度より後期高齢者医療保険料のコンビニ収納をはじめるなど、後期高齢者医療へのきめ細かな支援を行い、多くの高齢者の方に安心して医療が受けられるよう支えていきます。
 また、関係機関と連携・協力しながら、地域医療体制の充実を図るとともに、休日・夜間の医療体制や小児救急医療の体制整備に努めます。

○8点目は社会保障制度についてです。
 国民健康保険事業につきましては、30年度から施行された新国保制度の定着を図るため、財政運営の責任主体である県とともに、「福岡県国民健康保険運営方針」に基づいた運営を行います。
 また、今後の小郡市国民健康保険の安定的な運営のため、累積赤字の確実な解消と国民健康保険の将来的な財政状況を見据えた保険税率等の検討に、引き続き取り組みます。
 国民健康保険事業の医療費適正化については、第3期小郡市特定健康診査等実施計画に基づき、自己負担金の見直しを行う等、特定健康診査の受診率向上を図ります。
 また、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防の仕組みを活用し、健康づくりを推進します。
 レセプト点検や柔道整復、はり・きゅう及びあん摩・マッサージの患者に対する調査による保険給付の適正化、ジェネリック医薬品の利用促進並びに頻回・重複受診及び重複服薬に対する保健指導など効果的な保健事業によって、医療費の適正化を更に進めます。
 また、生活困窮者に対する支援につきましては、生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮世帯の自立支援に関する総合的な相談や就労支援等、包括的かつ継続的な支援を行い、生活の自立促進に努めます。さらに、生活困窮世帯の多くが抱える経済的な問題を、家計の適正な収支管理の側面から支援を行う家計改善支援事業についても、市役所での出張相談窓口を設ける等、相談しやすい環境づくりは基より、関係部局との連携強化の取り組みの充実を図ります。
 

Ⅴ「生きる力を育む教育と地域文化づくり」

○1点目は、学校教育についてです。
 学校教育につきましては、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育み、子ども達のたくましく生きる力の育成に努めます。そこで、個に応じたきめ細かな指導が出来るよう、市独自に学力向上支援員を配置し、学力向上・学力保障の支援を図ります。
 スクールソーシャルワーカーにつきましては、2名体制で、不登校などの対応や子どもの貧困対策の充実を図るとともに、学校の指導・運営体制の充実を図ります。
 特別支援教育では、その充実を図るために支援員を配置するとともに、教職員の研修を行います。
 小規模校におきましては、オンライン英会話の導入やタブレットの整備により、特色ある学校づくりに取り組み魅力化の推進を図ります。
 また、子ども達のまちづくり参加を推進するため、「子ども議会」に取り組みます。
 さらにコミュニティ・スクールを市内全小中学校に導入するとともに「小郡の子ども共育10の実践」の推進を含め、学校、家庭、地域が連携・協力して子どもを育てる取り組みを進めます。そして、総合教育会議を開催し、教育委員会と十分に意思疎通を図り、教育行政を推進します。
 施設整備につきましては、小中学校特別教室の空調設置工事に取り組むとともに、立石中学校管理教室棟大規模改造工事や三国小学校特別教室教室棟トイレ大規模改造工事、また、中学校パソコン教室の機器の更新を実施する等、教育環境の整備に努めます。
 学校給食につきましては、学校給食における食育の推進のために、学校・家庭・地域との連携・協力を図り、地元の食材を学校給食に多く取り入れ、「生きた教材」として「食の重要性」や「感謝の気持ち」を育む取組を行います。
 31年度におきましては、のぞみが丘小学校の自校式給食施設の建設を進めます。また、学校給食衛生管理基準に沿って、安全で安心できる給食の提供に努めながら学校給食の充実を図ります。

○2点目は、青少年教育についてです。
 市内の社会教育活動団体・青少年健全育成団体と連携・協力を図りながら、団体の特色ある活動の支援を行います。
 31年度もジュニアリーダー研修を通じて地域で主体的に活動できる青少年の育成に努めます。
 また、家庭の教育力向上のために、家庭教育学級「織姫☆彦星キャンパス」の開催や、家庭教育支援チームの活動により、学習機会の提供を行いながら、「基本的な生活習慣づくり」の啓発を行います。

○3点目は、人権・同和教育についてです。
 市民一人ひとりの人権が保障され、誰もがかけがえのない人間として尊重される差別のない明るい社会の実現を目指して、人権・同和問題市民意識調査から明らかとなった課題や人権教育・啓発推進法、部落差別解消推進法、第2次小郡市人権教育・啓発基本計画に基づき、同和問題をはじめ、あらゆる人権問題の解決に向け、学校や地域における人権・同和教育の取り組みを推進するとともに、「人権のまちづくり」や「校区人権問題啓発推進委員会」等の地域活動を担う関連組織とも連携を深めながら 地域啓発を進めます。
 また、社会的・経済的理由によって学習の機会が少なく、十分な学力を身につけることができない子どもたちを含むすべての子どもたちの基礎学力と自学自習の力を身につけることを目的に、学び場支援事業を全小・中学校で実施し、子どもたち一人ひとりの学力・進路保障に取り組みます。

○4点目は、生涯学習についてです。
 「高齢者等はつらつ教育事業」の中の「ボランティア参加型講座」の受講生から成るボランティア講師や、「生涯学習人材バンク」に登録されている講師を各団体に派遣し、学習や体験で培った知識や技術を市民に幅広く還元しながら交流を図ります。
 また男女共同参画の視点から、「女性再チャレンジ支援事業」としまして、面接対策や職場マナーなどを学習する「再就職準備講座」や、得意なこと・好きなことを仕事として起業していく「おうち起業応援講座」、さらにはファイナンシャルプランナー3級資格取得を目指すための「資格取得講座」等を開講し女性の社会参加を支援します。
 地域の知の拠点、地域を支える情報拠点として、図書館機能の充実を図るとともに、幼児、児童・生徒、成人など年代に応じた読書環境の整備・充実を図ります。特に「家読(うちどく)」の浸透を図るため、読書ボランティア団体の支援や、読書ボランティアの育成を進めます。
 また、本好きの子どもを増やすため、本のPOP作成講座等の取組みを学校と連携して進めるなど、読書活動の推進を図ります。併せて、「障害者差別解消法」が求めている、障がいを理由とする差別の解消のため、デジタル録音図書、布の絵本、大活字本等の提供による図書館サービスの向上に努めるなど、より便利で身近な図書館の実現のため、更なる機能の充実を検討し、読書のまちづくり日本一を目指します。
 
○5点目は、文化活動の振興についてです。
 市民主体の文化活動を支援することで、市民一人ひとりが豊かな文化に触れ、文化活動の担い手になるよう、文化の振興・発展に努めます。また、子ども達を対象にした参加体験型の教室開催や、市民文化祭の体験コーナー拡充など、市民参加機会の提供を行います。

○6点目は、文化財保護の推進についてです。
 文化財を貴重な財産として未来に残し活用するために、市指定文化財である松崎油屋の活用をはじめ、小郡平田家住宅の土地公有化を行い、地域の歴史と文化を町づくりに活かします。また、文化財保護政策を進めるためのマスタープランである小郡市歴史文化基本構想の策定を進めます。
 文化財保護の普及・啓発では、小郡市史の副読本「ふるさと小郡のあゆみ」(改訂版)の活用を推進し、幼稚園、保育所(園)、小中学校への授業支援をはじめ、ジュニア歴史博士やふるさと小郡歴史検定を実施し、郷土に愛着と誇りをもつ心を育てます。

○7点目は、スポーツ・レクリエーションの振興についてです。
 スポーツを通したまちづくりの振興を図るため、スポーツ推進基本計画に基づいた施策を実施します。施設整備につきましては、利用者の安全面に配慮し、多目的グラウンド(アスレチック広場側)の防球ネット設置工事を実施します。また、その他のスポーツ施設についても必要な整備・改修を実施し、利用者の安全性・利便性の確保に取り組みます。事業面では、市民スポーツを推進するため、スポーツ推進委員を始めとして、30年に法人化した小郡市スポーツ協会、総合型地域スポーツクラブなどのスポーツ団体や地域団体の育成・支援を行うとともに、連携・協力体制の充実を図り、市民のスポーツ環境を支える連携体制の構築を図ります。
 また、各種スポーツ事業の開催に加え、29年度に任命した小郡市ふるさとスポーツ大使によるスポーツ教室での指導・交流などの機会を設け、市民へスポーツの魅力を発信します。
 特に、小郡市スポーツ協会につきましては、自主・自立した運営体制の構築に向け、引き続き支援を行い、市スポーツ振興課と同協会それぞれの役割を明確にし、車の両輪となって小郡市全体のスポーツ振興を推進します。
 なお、老朽化している市体育館の整備につきましては、建設候補地の絞り込みや決定、財源確保等についての方針が庁内で定まった後、具体的な予算やスケジュールを明らかにしていきます。

○8点目は国際交流と多文化共生についてです。
 多文化共生のまちづくりを目指し、各種手続きや公共施設などを掲載した多文化共生ガイドブックの活用を図るとともに、おごおり国際交流協会と連携し、国際理解事業及び国際交流事業を推進します。

○9点目は男女共同参画社会についてです。
 第2次小郡市男女共同参画計画に基づき、男女共同参画社会の実現に向けて施策を推進し、一人ひとりが認め合い、いきいきと輝くまちづくりに努めます。
 特に、市政のあらゆる分野に多様な意見を取り入れるため、審議会等委員への女性のさらなる登用を推進します。
 

Ⅵ「新たな小郡市の地域自治体制づくり」

○1点目は、市民と行政の連携・協力体制の構築についてです。
 パブリックコメントの実施や審議会等への公募委員の登用を積極的に行い、市民との対話を重視した市民が主役の市政運営に努めます。
 また、行政情報の公開を推進し、開かれた市政運営に努めるとともに、市民と情報を共有することで、市民の市政への積極的な関わりを推進します。
 さらに、「市民起点」で考える市政運営を行うため、市民との対話の機会として「市民と市長の対話集会」及び「サービスチェック」事業、少人数のグループを対象とした「車座トーク、出前トーク」事業を実施していきます。さまざまな方々との対話を通じて、市政の方向性や考え方、市が進めている施策などについて市民へ直接説明し、それに対するご意見をお聴きしながら、より良い市政運営に努めます。

○2点目は、新たな地域自治についてです。
 これまで進めてきました「協働のまちづくり推進事業」も「セカンドステージ」を迎え、これまでの地域自治の課題を解決していく取り組みを将来に持続可能なものとしていくため、まちづくり組織及びまちづくり組織の活動が地域に認められ、また、求められるものになるよう、継続して支援を行います。
 支援金によるまちづくり組織への財政支援などとともに、30年7月にその機能を移行した「コミュニティセンター」において、より地域のみなさまのニーズに沿った事業・講座を開催することで、地域活動や市民活動に対する意欲の醸成を推進します。
 加えて、取り組みの継続性という観点から、地域ごとの将来ビジョンや行動計画を定めていくことについても、地域のみなさまとともに検討していきたいと考えています。
 また、市民活動の活性化に資する取組として、新たな公的サービスの担い手として期待されるNPO、ボランティア団体等の市民活動団体の事業を助成する、「市民提案型協働事業」を継続するとともに、新たな市民活動の担い手の育成を図る「小郡魅力化計画」をはじめとするまちづくり講座を実施します。
 これらの取組を通じて、「豊かなつながりの中で、一人ひとりの人権が大切にされる地域社会」「市民のみなさまが真に必要とする地域自治」づくりに向けて取り組みます。

○3点目は、健全な行財政運営についてです。
 市民の公共的な利益保護を図り、市民から信頼される市政運営を行うため、コンプライアンス条例に基づき、法令遵守と不当要求行為等の排除に努め、コンプライアンス体制をさらに推進します。
 行財政改革の推進につきましては、「小郡市行政経営アクションプラン」に基づき、地方分権時代に対応した職員の資質向上や、持続可能な財政運営を確保するため、施策の選択と集中及び投資的経費の抑制等による経費の削減に努めるとともに、市民の視点・地域経営の視点に立った行政経営の推進を図ります。
 また、税負担や公共料金の公平性の観点から、滞納者等に対する納税・納付意識の啓発と徴収強化を行い、自主自立した行財政運営の確立に向けて着実に取り組みます。
 市が所有する公共施設等の総合的かつ計画的な管理の方針を定めた小郡市公共施設等総合管理計画に基づき、予防保全型管理の視点で10年間の補修計画を兼ねた個別施設計画(長寿命化計画)により計画的な維持管理を行います。加えて、改修等の事業を行うに当たっては、公共施設等適正管理推進事業債等の特定財源を活用しながら、財政負担の軽減・平準化を図ります。
 また、公共施設等の整備に際しては、PPP/PFI手法の導入も含めて検討することとし、民間の創意工夫を活用しながら、財政資金の効率的使用や行政の効率化を図ります。
 職員の人材育成につきましては、「つながるまち小郡」ステップ事業として各種研修を継続的に実施することで、職員の意識や課題解決能力の向上に努めます。

○4点目は、地方創生についてでございます。
 将来予測される人口減少に対応するため、地方創生の一層の推進に向けて取り組みます。人口確保に向け、東京・大阪などで開催される移住相談会に参加し、交通利便性をはじめとした小郡市の魅力をPRし、移住定住の促進に努めます。
 また、「小郡市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が31年度で計画期間の最終年度を迎えることから、これまでの取組の成果や課題の検証を行うとともに、地方創生の次のステージに向けて、第2期の「まち・ひと・しごと総合戦略」の策定について、国の動向を注視しながら行います。
 ふるさと納税につきましては、地場産品の魅力をPRしながら、更なる寄附額の拡大を目指すとともに、ふるさと納税をきっかけに地場産品の発掘や開発が活発に行われ、農業、商工業の振興につながるよう、地域の「稼ぐ力」の向上に向けて取組を進めます。
 また、30年11月には沖縄県本部町との「友好のまち」協定締結を記念いたしまして、小郡市から本部町へ「学問の木」とも呼ばれる「楷(かい)の木」を送らせていただき、記念植樹式を行ないました。今後とも、小郡市・本部町が相互に発展し、交流を進めていけるように、本部町や関係団体と取組を進めます。
 マニフェストに掲げていた政策を着実に実行していくために、第5次小郡市総合振興計画との整合性を精査した上で、マニフェストの重点事業を行動計画としてまとめた「つながるまち小郡アクションプラン」を30年に策定しました。今後、アクションプランに掲げた施策を着実に実行していくことで、目指すビジョンである「つながるまち小郡」の実現に向けて取り組みます。
 最後に、第6次小郡市総合振興計画の策定に向けて、31年度から基礎調査を開始し、総合振興計画審議会での審議及び庁内調整を重ねながら、策定に向けて取り組みます。
 

3 おわりに

 以上、平成31年度の市政運営に臨む私の所信の一端と主要施策の概要について申し上げました。
 市民のみなさま及び議員各位の一層のご理解、ご協力とご支援を賜わりますようお願い申し上げまして、私の施政方針とします。
 

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