Web市長室

更新日: 2019年2月25日

平成30年3月 定例議会

平成30年度施政方針

平成30年3月
 

1 はじめに

 昨年5月、経済産業省の次官・若手プロジェクトが、「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」というレポートを発表しました。
 サラリーマンと専業主婦で定年後は年金暮らしという、かつては人生設計がありましたが、そうした「昭和の人生すごろく」は、もはや崩壊してしまったというものです。
 また、日本でも旋風を巻き起こした『ワーク・シフト』の著者リンダ・グラットンと、経済学の権威アンドリュー・スコットによる『LIFE SHIFT』というベストセラーでは、みんなが足並みをそろえて、教育・勤労・引退という3つのステージを生きる時代は終わり、長寿社会では、仕事をしながら学び直しをするなど、定年後もさまざまな仕事や活動を行う複線的な生き方の必要性を問いかけています。
 一方、国は、高齢社会対策大綱で、年金の受給年齢を70歳超も選択に入れることを示し、高齢者就労を促す方針を示しています。
 “人生100年時代”、これまでとは違う景色の中で、私たちは自分たちの時代を切り拓いていかなければなりません。
 そうした中で、地方自治体は、当然、そのような人生100年時代を迎える上でのまちづくり政策が求められています。
 共働きを前提とした子育て支援、地域で支え合う医療介護体制づくり、農業をはじめ地域産業の活性化と雇用づくり、自ら地域課題を解決していくためのコミュニティ形成・・・団塊の世代が後期高齢者層に入る2025年問題を前に、厳しい市の財政を自律的な均衡をとる仕組みにしながら、これからのまちのあり方を探り、確かなものにしていかなければなりません。
 私が掲げるまちづくりの方針「つながるまち 小郡」は、市民・地域・民間・行政が連携することで、人生100年時代を安心して迎える基盤づくりにつなげていくものとなります。
 

2 平成30年度の重点施策について

 それでは、平成30年度の重点的な施策を、「第5次小郡市総合振興計画」の6つの政策目標に沿って、その概要をご説明申し上げます。
 

Ⅰ「安全で快適な都市機能・都市基盤づくり」

○1点目は土地利用についてでございます。
 小郡市における市街化区域内におきましては、平成29年10月に三沢駅南地区、津古地区(一部)が市街化区域編入となり、今後新たな土地利用が見込まれます。その他の住宅開発地につきましては、多様な世代が住み続けていただけるよう新たなまちづくりに取り組んでまいります。
 一方、人口が減少しております市街化調整区域につきましては、都市計画制度を活用した地区計画の策定、福岡県条例に基づく都市計画法第34条第11・12号による区域指定により集落の維持を図ってまいります。
 次に、産業系の土地利用についてでございます。
 筑後小郡インターチェンジ周辺、主要地方道久留米筑紫野線沿線及び鳥栖ジャンクション周辺地区等を小郡市の工業、流通業務の拠点として、誘導・集積を進めてまいります。
 また、既存の企業等につきましては、維持、発展を図る都市計画制度の活用に取り組んでまいります。
 今後、人口減少・高齢化社会を見据えたコンパクトなまちづくりを推進するため、住宅及び医療、福祉、商業その他関連する施設の誘導とそれを連携した公共交通の促進等を含めた都市基盤づくりについて取り組んでまいります。

○2点目は道路・交通網についてでございます。
 平成30年度の主な事業は、主要地方道の県道久留米筑紫野線バイパス4車線化事業のほか、宝満川左岸の県道本郷基山停車場線、県道鳥栖朝倉線バイパス事業などの県事業と市の事業である市道下町・西福童16号線、市道三国・大保原5079号線東野校区道路改良事業、市道干潟・花立102号線道路改良事業でございます。
 また、九州道(鳥栖―久留米IC間)に新たなスマートIC設置のため、国、福岡県、佐賀県及び鳥栖市と協議を進めながら、開設実現に向け取り組んでまいります。
 その他、道路舗装事業、道路維持補修事業や交通安全施設整備事業といった生活道路の整備充実を引き続き進めてまいります。
 コミュニティバスにつきましては、現在の社会状況及び多様化された市民ニーズ等を踏まえながら、特に高齢者をはじめとする交通弱者の生活交通手段としての役割を果せるよう、運行の改正を行います。
 併せて、鉄道など他の交通手段との役割分担や連携、補完的な役割としての新たな交通の導入なども含め、市民の生活交通手段の確保という視点から、今後の市全体の公共交通体系の方向性について検討してまいります。

○3点目は交通安全・防犯対策についてでございます。
 地域における交通安全や防犯などの活動を行う各種団体の活動支援を行い、見守り活動の活性化に努めてまいります。
 また、高齢運転者の重大事故が多発している社会状況に鑑み、自動車等の運転に不安を感じる高齢運転者に対して、運転免許証の自主返納を支援する取組を新たに進めてまいります。
 平成30年度におきましても、行政区で設置する防犯灯の設置費用の一部を助成し、地域における防犯対策を強化するとともに、省電力で切れにくい防犯灯のLED化を継続して進めてまいります。
 さらに、犯罪の抑止及び地域住民の不安解消を図り、市民のみなさまが安全で安心して暮らすことができる地域づくりを推進するため、民間と連携し、防犯カメラシステム支援自動販売機の導入による防犯カメラの設置を進めてまいります。
 また消費者被害を防ぐため、消費者に対する教育、啓発活動を継続的に進め、同時に消費者の立場に立った消費生活相談窓口の維持・強化に努めてまいります。

○4点目は、消防・防災・国土の保全についてでございます。
 地域防災力の強化を図るため、自主防災組織の活動がさらに活性化されるよう支援を行うとともに、地域における防災リーダーの養成を促進し、地域防災力の核となる人材の育成を図ってまいります。さらに、自主防災組織を中心とした地域コミュニティによる避難行動要支援者の避難支援の体制づくりを進めてまいります。
 また、災害情報の伝達手段の多様化を図るため、防災行政無線の音声ガイド機能、職員参集メール機能などを付加したASPサービスを活用した情報伝達システムを導入します。
 さらに、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」に基づき、安定的な消防団活動のため、幅広い啓発等による団員確保に努めるとともに、地域防災の要である消防団活動の充実・活性化を図ってまいります。

○5点目は、情報通信基盤についてでございます。
 29年度より開始したクラウド技術を活用した基幹系システムの安定稼働に努めるとともに職員が利用する情報系端末については更新へ向けての作業に取り組んでまいります。
 

Ⅱ「豊かな暮らしを支える活力ある産業づくり」

○1点目は農業についてでございます。
 小郡市が目指すべき食料・農業・農村の姿として、小郡市食料・農業・農村基本計画に掲げる各施策目標の達成に向けて取り組んでまいります。
 また、食と農の複合施設が、本市に賑わいをもたらすものとなるよう、市民のみなさまと話し合いを進めていくと共に、新たな農業所得向上の手段として、6次産業化や農商工連携の研究を進めてまいります。
 さらに、地域の共同活動によって支えられている農業の多面的機能の維持・発揮を支援する多面的機能支払交付金事業を継続して活用し、地域活動や営農活動を推進します。
 農業環境の整備につきましては、ため池整備や井堰の改修等による防災対策を図ります。また、老朽化した県営施設につきましては、長寿命化の取り組みを図りながら安定的な農業用水の確保に努めてまいります。

○2点目は商業についてでございます。
 市内における消費喚起を促し、更なる商業の活性化を目的に、商工会が実施しております「地域商品券発行事業」ならびに「まちの元気再発見事業『ミ・シ・ラ・ン小郡』の発行事業」につきましては、引き続き支援を行ってまいります。
 また、平成28年度に策定しました「商業活性化計画」に基づき、商工会と連携した新規創業者・創業希望者の支援や、事業者や地域住民等で構成するワーキング会議で西鉄小郡駅前などの商業活性化に向けた事業の検討や取り組みを行ってまいります。

○3点目は工業についてでございます。
 地元雇用や自主財源の確保など地域活性化を目的に企業誘致に取り組んでまいります。
 市の東西に位置付けております工業等の導入地区については、鳥栖インターチェンジを併設する鳥栖ジャンクション、小郡インターチェンジ及び主要地方道久留米筑紫野線といった交通利便性から、物流拠点としての需要が非常に高くなっております。この好機を逸することがないよう、当該地区への民間開発の誘導に積極的に取り組んでまいります。

○4点目は観光についてでございます。
 (一社)小郡市観光協会と協力し、オータムフェスタなど市内の地域資源を活用した観光事業等の展開により、交流人口を増加させる魅力ある観光づくりを進めるとともに、観光協会をはじめ、商工会、JAみいなどの関係団体との連携により、地域資源を活かした特産品づくりの取り組みを強化してまいります。
 こうした本市の地域資源や魅力を、観光キャラクター「オリリン・ヒコリン」を活用して市内外に発信するとともに、おごおり情報プラザを小郡市の観光情報窓口として、一層の充実を図ってまいります。
 さらに、小郡市のあらゆる資源の活用を、観光だけでなく農業や商工業などの産業分野にも広め、市全体の「七夕」イメージによるブランディングを進めながら、「にぎわい」をコンセプトにした活性化事業「(仮称)七夕プロジェクト」事業に取り組みます。

○5点目は雇用と労働についてでございます。
 ふるさとハローワークや県などの関係機関と連携し、就職支援セミナーの開催などの就業支援や雇用、労働に関する相談窓口の情報提供などを行いながら支援に努めます。
 さらに、企業誘致の推進や新たな活力となる創業者支援等により、就業機会の創出に努めてまいります。
 

Ⅲ「ゆとりと潤いに満ちた居住環境づくり」

○1点目は環境衛生対策・環境保全についてでございます。
 市民向け太陽光発電システム設置補助を引き続き行いながら、省エネ・節電への取り組み・啓発を推進し、地球温暖化対策を進めてまいります。
 また、環境衛生組合連合会などの団体や、市が委嘱するごみ減量リサイクルアドバイザー、ごみを排出する事業者と協力し、リデュース・リユース・リサイクル(発生抑制・再利用・再資源化)の3Rの取り組みを推進し、資源循環型社会の確立を目指します。

○2点目は、公共下水道事業についてでございます。
 平成30年度は、立石区、井上区、松崎区、上岩田区、八坂区で、引続き下水道未普及地区の整備を進めてまいります。また、浸水対策についても、引続き、正尻川雨水幹線と影堤雨水幹線の改修を進めてまいります。併せて、供用開始区域内の下水道への未接続者に対する接続推進に努め、下水道普及率、水洗化率の向上を図ります。
 更に、30年度は、本市の公共下水道供用開始30周年を記念し、デザインマンホール事業を進め、更なる下水道の普及促進に取組んでまいります。

○3点目は、小郡市営住宅についてでございます。
 『小郡市営住宅長寿命化計画』に基づき、耐用年数を経過した井上第2住宅、若山住宅を平成32年度の入居目標に、統合建替えを行うため、30年度につきましては、井上第2住宅入居者の一部仮移転と建替え計画の基本・実施設計を進めて参ります。

○4点目は、空き家の利活用についてでございます。
 居住環境づくりのひとつといたしまして、「空き家の利活用」がございます。「空き家バンク」制度導入に向け、平成29年度に久留米宅地建物取引業協同組合と協定を締結いたしました。30年度は空き家所有者との個別相談と空き家バンク登録を進めて参ります。
 

Ⅳ「やさしさあふれる健康と福祉づくり」

○1点目は地域福祉の推進についてでございます。
 小郡市地域福祉計画に基づき、障害の有無や年齢にかかわらず、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、地域における各福祉分野でのサービスの一層の充実と利用促進を図ってまいります。
 また、地域福祉推進の中核的な存在である社会福祉協議会が策定しました小郡市地域福祉活動計画の推進につきましても、ふれあいネットワークの推進と合わせて、連携・協力を図りながら支援してまいります。
 更に、社会福祉協議会や民生委員児童委員をはじめ、地域における福祉活動の担い手に対する支援を充実させるとともに、地域住民やボランティアなどが、それぞれの役割や特性を活かしながら、地域福祉推進の主体として参画できる地域社会づくりを推進してまいります。
 併せて、自治会バスなどの買い物支援対策につきましても、地域のニーズに合った支援策に取り組んでまいります。
 また、第2次小郡市地域福祉計画・小郡市地域福祉活動計画の策定に向け、30年度には、地域住民にも参画してもらう計画策定プロジェクト会議の立ち上げや市民ワークショップなどを実施いたします。

○2点目は、高齢者福祉についてでございます。
 第7期高齢者福祉計画・介護保険事業計画の基本理念である「地域と共に高齢者を支えるまちづくり」に基づき、高齢者になってもいきいきと生活し、また、支援や介護が必要になっても可能な限り住み慣れた自宅や地域で、安心して暮らすことができるよう、地域包括ケアシステムの構築により一層努めてまいります。
 また、高齢者やその家族が身近な場所で気軽に相談できるよう、小郡市在宅介護支援センターによる「出張相談窓口事業」を継続してまいります。
 さらに、「認知症にやさしいまちづくり」の一環として、三国地区に開所した認知症カフェ「三国カフェ」での情報の発信に努めると共に、地域の高齢者の居場所としても活用します。また、小学校での認知症サポーター養成講座を継続し、子どもたちに認知症への正しい知識と理解をひろげてまいります。
 また、支援の必要な方の在宅生活を支えるための「在宅医療・介護連携支援センター」を小郡三井医師会に委託し、多職種による連携のとれた支援に努めてまいります。

○3点目は、子育て支援についてでございます。
 小郡市子ども・子育て支援事業計画に基づき、すべての子ども達が笑顔で成長していくために、子どもの健やかな育ちと保護者の子育て支援を地域全体で支援する環境整備を図ってまいります。
 教育・保育事業につきましては、私立幼稚園の認定こども園への移行支援を行い、就学前の施設の拡充を図るとともに、課題となっている保育士不足につきましては、保育士就職ガイダンスや潜在保育士研修、保育士就職支援金など様々な取組みにより、保育士の確保に努めてまいります。
 また、今年度より子育てに関する相談員を増員し、子育てに関する相談が総合的に実施できるように体制整備を図ってまいります。

○4点目は、障害者福祉についてでございます。
 平成30年度から新たな計画期間となります第5期障がい福祉計画・第1期障がい児福祉計画に基づき、近年増加が著しい障害福祉サービスに対応するべく、サービス提供の質、量の確保に努め、障害福祉施策の充実を行います。特にニーズが高い放課後等デイサービスをはじめとした障害児通所施設給付等事業に関しては、今後、自立支援協議会をはじめとした障害福祉事業者との連携強化を図ってまいります。
 さらに30年度より、発達障害巡回相談事業を拡大すると共に、発達障害が疑われる児童の受け皿になる「きらきら教室」により、発達障害の早期発見・早期療育に取り組んでまいります。
 また、30年度は第3期障がい者計画を策定することにより、31年度以降の障害福祉施策の基本方針を定め、様々な障壁を無くしていく取組みを進めてまいります。

○5点目は、人権・同和対策についてでございます。
 市民一人ひとりの人権が尊重される明るく住みよいまちづくりを目指して、第2次小郡市人権教育・啓発基本計画に基づきながら、総合的かつ計画的に人権・同和行政を推進してまいります。
 人権教育・啓発推進法や部落差別解消推進法などの関係法を踏まえ、関係機関・団体と連携しながら、より一層の人権教育・啓発を推進してまいります。また、依然として厳しい部落差別が存在することを踏まえ、地域住民の生活の安定と福祉の向上を図るため、生活実態の把握に努めながら、教育・就労・健康等の課題解決に向けて、引き続き取り組んでまいります。
 さらに、人権が侵害された場合における被害者救済のため、一日も早い「人権侵害の救済に関する法律」の制定に向けて取組を進めてまいります。

○6点目は保健活動についてでございます。
 総合保健福祉センターあすてらすを保健活動の拠点として、健康の保持・増進や疾病の予防・早期発見に努め、生涯にわたる健康づくりを推進します。
 子育て関係部署との連携を行いながら、産後ケア事業をはじめとした母子保健事業の充実に取り組みます。
 生活習慣病に関しましては、特定健康診査・保健指導の受診率向上に努めるとともに、糖尿病等の重症化を予防するシステム作りや関係団体との連携強化による、口腔ケアや栄養に関する事業に取り組みます。また新たな健康運動教室を開催し、住民コミュニティによる健康づくりを進めることで、健康づくり実践のための環境整備を推進いたします。
 併せて、30年度より第2次健康増進計画・第2次食育推進計画に基づく施策目標の達成に向け、健康づくり及び食育の取組みを進めて参ります。

○7点目は医療体制についてでございます。
 子ども、重度障害者及びひとり親家庭等並びに未熟児養育医療に対する医療費助成を引き続き実施します。
 後期高齢者医療へのきめ細かな支援を行い、多くの高齢者の方に安心して医療が受けられるよう支えてまいります。
 また、関係機関と連携・協力しながら、地域医療体制の充実を図るとともに、休日、夜間の医療体制や小児救急医療の体制整備に努めてまいります。

○8点目は社会保障制度についてでございます。
 国民健康保険事業につきましては、平成30年度から県が財政運営の責任主体となり、中心的な役割を担い、市町村とともに運営を行っていくことになっております。これに伴い、その円滑な移行に努めるとともに、被保険者等への周知を図ってまいります。
 また、今後の小郡市国民健康保険の健全な運営のため、累積赤字の解消と新国保制度に適応した保険税率等の検討に、引き続き取り組んでまいります。
 国民健康保険事業の医療費適正化については、第3期小郡市特定健康診査等実施計画に基づき、特定健康診査の受診率向上を図ります。
 また、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防の仕組みを構築し、健康づくりを推進してまいります。
 レセプト点検や柔道整復、はり・きゅう及びあん摩・マッサージの患者に対する調査による保険給付の適正化、ジェネリック医薬品の利用促進並びに頻回・重複受診及び重複服薬に対する保健指導や糖尿病性腎症等重症化予防など効果的な保健事業によって、医療費の適正化を更に進めてまいります。
 また、生活困窮者に対する支援につきましては、生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮世帯の自立支援に関する総合的な相談や就労支援等、包括的かつ継続的な支援を行い、生活の自立促進に努めてまいります。さらに、生活困窮世帯の多くが抱える経済的な問題を、家計の適正な収支管理の側面から支援を行う家計相談支援事業についても、必要に応じて生活保護世帯を対象世帯にするなど、取り組みの充実を図ってまいります。
 

Ⅴ「生きる力を育む教育と地域文化づくり」

○1点目は、学校教育についてでございます。
 学校教育につきましては、確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和を重視した教育を一層進め、子ども達の生きる力の育成に努めてまいります。そこで、個に応じたきめ細かな指導が出来るよう、市独自に学力向上支援員を配置し、学力向上・学力保障の支援を図ってまいります。
 英語教育の充実につきましては、ALT外国人指導助手の配置拡充を図ります。
 スクールソーシャルワーカーにつきましては、これまでの1名体制から2名体制へと増員し、不登校などの対応や子どもの貧困対策の充実を図るとともに、学校の指導・運営体制の充実を図ってまいります。
 さらに、特別支援教育支援員の配置を拡充するとともに、教職員の研修を充実させます。
 小規模校におきましては、特色ある学校づくりに取り組み魅力化の推進を図ります。
 また、子ども達のまちづくり参加を推進するため、「子ども議会」に取り組んでまいります。
 施設整備につきましては、小学校特別教室の空調設置工事に取り組むとともに、宝城中学校管理棟大規模改造工事や小学校パソコン教室の更新を実施する等、教育環境の整備に努めてまいります。
 学校給食につきましては、食育は学校のみならず家庭や地域が連携して取り組むことが必要であるため、小郡市「食と農」推進協議会と連携を図り、給食に地元の野菜を使用する地産地消などの取り組みを充実させ、学校給食を通じた啓発活動を行ってまいります。
 30年度におきましては、三国小学校の自校式給食施設の建設を進めてまいります。また、教育の一環としての食育を推進するとともに、安全・安心でおいしい学校給食の充実を図ってまいります。
 また、コミュニティ・スクールの拡大に向けた取り組みを進めるとともに「小郡の子ども共育10の実践」の推進を含め、学校、家庭、地域が連携・協力して子どもを育てる取り組みを進めてまいります。そして、総合教育会議を開催し、教育委員会と十分に意思疎通を図り、教育行政を推進してまいります。

○2点目は、青少年教育についてでございます。
 市内の社会教育活動団体・青少年健全育成団体と連携・協力を図りながら、団体の特色ある活動の支援を行ってまいります。また、子どもの体験学習や研修会・交流会を状況に応じて主催・共催で実施することで、子ども達が地域で主体的に活動できるジュニアリーダーとなるよう、青少年の育成に努めます。
 家庭の教育力向上のために、保護者対象の家庭教育学級「織姫☆彦星キャンパス」を開催します。また、家庭教育支援チームの活動を強化し、学習機会の提供を行いながら、「基本的な生活習慣づくり」の啓発拡充を図ってまいります。

○3点目は、人権・同和教育についてでございます。
 市民一人ひとりの人権が保障され、誰もがかけがえのない人間として尊重される差別のない明るい社会の実現を目指して、第2次小郡市人権教育・啓発基本計画に基づきながら、学校・地域などのあらゆる機会をとおして、人権・同和教育と啓発に取り組んでまいります。
 社会的・経済的理由によって学習の機会が少なく、十分な学力を身につけることができない子どもたちを含むすべての子どもたちの基礎学力と自学自習の力を身につけることを目的に、学び場支援事業をすべての小・中学校で実施し、子どもたち一人ひとりの学力・進路保障に取り組んでまいります。
 また、人権・同和問題市民意識調査から明らかとなった課題や人権教育・啓発推進法や部落差別解消推進法を踏まえ、同和問題をはじめ、あらゆる人権問題の解決に向け、学校や地域における人権・同和教育の取り組みを推進するとともに、「人権のまちづくり」や「校区人権問題啓発推進委員会」等の地域活動を担う関連組織とも連携を深めながら地域啓発を進めてまいります。

○4点目は、生涯学習についてでございます。
 社会の変化に対応した多様な学習機会を、子どもから高齢者に至るまで提供します。また、そうした主催講座の受講生が自主グループとして、地域や学校でボランティアとして活動できるよう育成・支援を行います。特に、まちづくりに関心・興味を持つ方を対象に、まちづくりのノウハウや実践活動を学ぶ「小郡魅力化計画」(講座名)を開催し、市民の社会参加活動意欲を高めるとともに、活動中のグループの支援を行います。
 老朽化の進んでいる生涯学習センター及び各校区公民館を、子どもから高齢者まで学べる環境づくりの視点で整備に努めるとともに、特に校区公民館におきましては、社会教育施設の機能に加え、まちづくりの支援をより推進できる施設とするため、コミュニティセンターにすることで、施設運用の弾力化を図ります。
 地域の知の拠点、地域を支える情報拠点として、図書館機能の充実を図るとともに、幼児、児童・生徒、成人など年代に応じた読書環境の整備・充実を図ります。特に「家読(うちどく)」の浸透を図るため、読書ボランティア団体の支援や、読書ボランティアの育成を進めてまいります。
 また、本好きの子どもを増やすため、本のPOP作成講座等の取組みを学校と連携して進めるなど、読書活動の推進を図っていきます。併せて、「障害者差別解消法」が求めている、障がいを理由とする差別の解消のため、合理的配慮によるさらなる図書館サービスの提供に努めるなど、より便利で身近な図書館の実現のため、更なる機能の充実を検討し、読書のまちづくり日本一を目指します。

○5点目は、文化活動の振興についてでございます。
 市民主体の文化活動を支援することで、市民一人ひとりが豊かな文化に触れ、文化活動の担い手になるよう、文化の振興・発展に努めます。また、子ども達を対象にした参加体験型の教室開催や、市民文化祭の体験コーナー拡充など、市民参加機会の提供を行ってまいります。

○6点目は、文化財保護の推進についてでございます。
 文化財を貴重な財産として未来に残し活用するために、市指定文化財である松崎油屋の復原作業をはじめ、小郡平田家住宅の土地公有化を行い、地域の歴史と文化を町づくりに活かしていきます。また、文化財保護政策を進めるためのマスタープランである小郡市歴史文化基本構想の策定を進めてまいります。
 文化財保護の普及・啓発では、小郡市史の副読本「ふるさと小郡のあゆみ」(改訂版)の活用を推進し、幼稚園、保育所(園)、小中学校への授業支援をはじめ、ジュニア歴史博士やふるさと小郡歴史検定を実施し、郷土に愛着と誇りをもつ心を育ててまいります。

○7点目は、スポーツ・レクリエーションの振興についてでございます。
 スポーツを通したまちづくりの振興を図るため、スポーツ推進基本計画に基づいた施策を実施してまいります。施設整備につきましては、利用者の安全面に配慮し、小郡市体育館体育室の床改修工事を実施いたします。また、その他のスポーツ施設についても必要な整備・改修を実施し、利用者の安全性・利便性の確保に取り組んでまいります。事業面では、市民スポーツを推進するため、スポーツ推進委員を始めとして、小郡市体育協会、総合型地域スポーツクラブなどのスポーツ団体や地域団体の育成・支援を行うとともに、連携・協力体制の充実を図り、市民のスポーツ環境を支える連携体制の構築を図ります。
 特に小郡市体育協会につきましては、一般社団法人化を支援し、同協会の組織強化と財政基盤の充実を図ることによって、市民に対してのスポーツの機会の提供と競技スポーツを推進してまいります。市スポーツ振興課と同協会それぞれの役割を明確にし、車の両輪となって小郡市全体のスポーツ振興を推進してまいります。
 老朽化している市体育館の整備につきましては、将来負担軽減を視野に、建設方法や施設運営の在り方などを更に研究し、新総合体育館建設に向けた実施プランを、市民の声を取り入れながら検討してまいります。

○8点目は国際交流と多文化共生についてでございます。
 多文化共生のまちづくりを目指し、各種手続きや公共施設などを掲載した多文化共生ガイドブックの活用を図るとともに、市民の国際交流活動を支援し、人づくり、地域づくりを推進してまいります。

○9点目は男女共同参画社会についてでございます。
 第2次小郡市男女共同参画計画に基づき、男女共同参画社会の実現に向けて施策を推進し、一人ひとりが認め合い、いきいきと輝くまちづくりに努めてまいります。
 特に、市政のあらゆる分野に多様な意見を取り入れるため、計画における数値目標である審議会等委員に占める女性の割合36.0%以上の達成に向け、審議会等委員への女性のさらなる登用を推進してまいります。
 

Ⅵ「新たな小郡市の地域自治体制づくり」

○1点目は、市民と行政の連携・協力体制の構築についてでございます。
 パブリックコメントの実施や審議会等への公募委員の登用を積極的に行い、市民との対話を重視した市民が主役の市政運営に努めてまいります。
 また、行政情報の公開を推進し、開かれた市政運営に努めるとともに、市民と情報を共有することで、市民の市政への積極的な関わりを推進してまいります。

○2点目は、新たな地域自治についてでございます。
 これまで、新たな地域自治の担い手として各小学校区に設置されました「まちづくり組織」に対して、校区推進員による人的支援、支援金制度による財政支援など、様々な支援を実施することで、校区それぞれで実績が積み重ねられ、市民主体のまちづくりが進んで参りました。
 平成30年度につきましては、より地域にとって必要とされ、未来に引き継がれていくまちづくりを目指す、まちづくりのセカンドステージと捉え、取組を進めて参ります。
 具体的には、拠点施設である校区公民館のコミュニティセンター化と、それに伴う人的支援を含むまちづくり組織への支援体制の整備を図ります。
 また、まちづくり組織に対して、校区ごとの地域の将来のビジョンや行動計画を記した地域まちづくり計画の策定を促すとともに、策定に係る支援を進めて参ります。
 加えて、市民活動の活性化に資する取組として、新たな公的サービスの担い手として期待されるNPO、ボランティア団体等の市民活動団体の活動支援として、まちづくり支援基金を活用して、地域課題の解決に向けた事業提案に対して市民活動団体と行政が連携して取り組む「市民提案型協働事業」を実施しています。
 平成30年度においては、市民活動団体の基盤整備や、組織作りのスタートアップを支援する補助制度を設け、新たな市民活動団体の育成を図るとともにさらなる市民活動の活性化に取り組んで参ります。
 これらの取組を通じて、「豊かなつながりの中で、一人ひとりの人権が大切にされる地域社会」「市民のみなさまが真に必要とする地域自治」づくりに向けて取り組んで参ります。

○3点目は、健全な行財政運営についてでございます。
 市民の公共的な利益保護を図り、市民から信頼される市政運営を行うため、コンプライアンス条例に基づき、法令遵守と不当要求行為等の排除に努め、コンプライアンス体制をさらに推進してまいります。
 行財政改革の推進につきましては、「小郡市行政経営アクションプラン」に基づき、地方分権時代に対応した職員の資質向上や、持続可能な財政運営を確保するため、施策の選択と集中及び投資的経費の抑制等による経費の削減に努めるとともに、市民の視点・地域経営の視点に立った行政経営の推進を図ってまいります。
 また、税負担や公共料金の公平性の観点から、特に悪意ある滞納者等に対する徴収強化を行い、自主自立した行財政運営の確立に向けて着実に取り組んでまいります。
 市が所有する公共施設等の総合的かつ計画的な管理の方針を定めた小郡市公共施設等総合管理計画に基づき、予防保全型管理の視点で10年間の補修計画を兼ねた各施設の個別計画等を策定し、市債等の特定財源を活用しながら、財政負担の軽減・平準化を図ってまいります。
 職員の人材育成につきましては、「つながるまち 小郡」ステップ事業として各種研修を継続的に実施するとともに、新たな派遣研修にも取り組むことで、職員の意識、能力や資質向上に努めてまいります。

○4点目は、地方創生についてでございます。
 将来予測される人口減少に対応するため、地方創生の一層の推進に向けて取り組んでまいります。人口確保に向け、移住定住について、東京や福岡市等で開催されるイベント参加も含めた相談体制の充実及び小郡市単独主催の移住定住イベントに取り組んでまいります。
 ふるさと納税につきましては、更なる寄附額の拡大を目指すとともに、ふるさと納税をきっかけに特産品の発掘や開発が活発に行われ、その過程で市内の事業者が様々な形でつながることで、地域の活性化を達成していくことが重要であり、その推進のための体制整備と返礼品の充実を引き続き進めてまいります。
 また、平成29年7月に小郡市を含む久留米広域連携中枢都市圏の4市2町で東京新橋にアンテナショップを開店しました。このアンテナショップにつきましても小郡市のプロモーションの一拠点としてイベントを開催する等、積極的な活用に取り組んでまいります。
 昨年11月には沖縄県本部町との「友好のまち」協定を締結いたしました。民間交流への支援を検討するとともに、今後の取組について、本部町や関係団体と協議を進めてまいります。
 マニフェストにつきましては、現在、公的政策集として取りまとめを行っており、今後、総合振興計画と一体となったアクションプランを策定し、計画の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 最後に、行政組織のあり方につきまして、地方分権や少子高齢化が進む中、自主自立した行政運営による政策判断および施策の実現が求められており、また、今後、取りまとめていくアクションプランの実現に向けても大胆な組織体制の見直しが必要であると考えています。そこで、時代に見合った新たな行政経営のための組織機構の見直しについて、本年7月を目途に実施していきたいと考えております。
 

3 おわりに

 以上、平成30年度の市政運営に臨む私の所信の一端と主要施策の概要について申し上げました。
 市民のみなさま及び議員各位の一層のご理解、ご協力とご支援を賜わりますようお願い申し上げまして、私の施政方針といたします。

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