令和3年6月 定例議会
令和3年6月
令和3年度の重点施策について
それでは、令和3年度の重点的な施策を、「第5次小郡市総合振興計画」の6つの政策目標に沿って、その概要を説明します。
令和3年度は、第6次小郡市総合振興計画の策定を行います。感染症の影響を踏まえた市民の皆さんの意見を市民アンケートやワークショップなどで伺い、令和4年3月議会に提案できるよう議会と一体となって取り組みます。
Ⅰ「安全で快適な都市機能・都市基盤づくり」
○1点目は土地利用についてです。
今後、人口減少・高齢化社会を見据えたまちづくりを推進していく必要があります。
市街化区域においては、コンパクトなまちづくりの施策として立地適正化計画の策定を行い、住宅及び医療、福祉、商業その他の関連する施設の誘導を図ります。
また、市街化調整区域については、都市計画制度を活用した地区計画の策定、福岡県条例に基づく都市計画法第34条第11・12号による区域指定により集落の維持を図ります。
さらに、生活利便施設及び市街化調整区域を含めた既存集落への公共交通の結束を行い、さらなる都市基盤づくりを行います。
次に、産業系の土地利用についてです。
近年、本市の交通利便性を生かした土地利用として産業系土地利用の需要が高まっています。
筑後小郡インターチェンジ周辺、主要地方道久留米筑紫野線沿線及び鳥栖ジャンクション周辺地区等については、小郡市の工業、流通業務の拠点として、さらに誘導・集積を進め、地域の活性化に繋がる企業誘致を行うことで、雇用創出も可能となります。
また、既存の企業等につきましては、維持、発展を図るため都市計画制度の活用に取り組みます。
○2点目は道路・交通網についてです。
主な事業は、九州道(鳥栖JCT―久留米IC間)に新たに設置する、味坂スマートインターチェンジ(仮称)の早期完成に向けた取り組みを引き続き推進してまいります。
また、主要地方道久留米筑紫野線バイパス4車線化事業のほか、宝満川左岸の本郷基山停車場線などの県事業と、市の事業である下町・西福童16号線、干潟・花立102号線道路改良事業も併せて推進してまいります。
その他、道路舗装事業、道路・橋梁維持補修事業や交通安全施設整備事業といった生活道路の整備充実を進めていきます。治水事業としては、河川護岸未整備区間の整備を引き続き進めるとともに、地域の強靭化及び流域治水を推進していきます。また、河川流下能力の確保の為、浚渫等を行っていきます。
コミュニティバスにつきましては、地域の実情、市民ニーズ等を踏まえながら、交通弱者の生活交通手段としての役割を果たせるよう、地域公共交通活性化協議会の中で議論を進め、適宜見直しを行っていきます。また、令和3年3月に実施したデマンドタクシー導入に係る実証実験の結果を分析し、デマンドタクシーの導入を目指します。
市内の公共交通体系については、鉄道など他の交通手段との役割分担や連携を強化するため、地域公共交通計画の策定を進め、市民の生活交通手段の確保という視点から、新たな公共交通体系への転換等、今後の市全体の公共交通体系の方向性について検討します。
○3点目は交通安全・防犯対策についてです。
地域における交通安全や防犯などの活動を行う各種団体の活動支援を行い、地域全体での防犯体制の強化を進めます。
令和3年度におきましても、行政区で設置する防犯灯の設置費用の一部を助成し、地域における防犯対策を強化するとともに、省電力で長寿命な防犯灯のLED化を継続して進めます。
さらに、安全・安心な地域づくりを推進するため、民間事業者等と協力し、防犯カメラシステム支援自動販売機の導入による防犯カメラの設置を進めていきます。
また消費者被害を防ぐため、消費者に対する教育、啓発活動を継続的に進め、同時に消費者の立場に立った消費生活相談窓口の維持・強化に努めます。
○4点目は、消防・防災・国土の保全についてです。
平成30年度から3年連続した豪雨災害等の教訓を踏まえ、全庁的な体制で迅速に災害対応を行うため、市職員の災害対応能力の強化と防災意識の向上を図り、市災害対策本部の機能強化を行います。
地域の強靭化を総合的に推進するための小郡市地域強靭化計画に基づき、宝満川の支流を含めた流域全体で行う流域治水の考え方により、ハード面とソフト面が一体となった多層的な治水対策と減災対策を検討し、災害に強いまちづくりを進めます。
また、地域防災力の強化を図るため、自主防災組織の組織づくりや活動の活性化を支援します。自主防災組織を中心とした地域の避難行動要支援者の避難支援の体制づくりを進めるとともに、防災リーダーの養成を促進し、地域防災力の核となる人材の育成を図ります。
常備消防体制については、久留米広域消防本部において三井消防署本署を建替える計画となっていることから、今後も久留米広域消防本部、関係市町と協議しながら進めていきます。
消防団については、安定的な消防団活動を行うため、幅広い啓発等による団員確保に努めるとともに、地域防災の要として、消防団活動の充実・活性化を図ります。
○5点目は、情報通信基盤についてです。
クラウド技術を活用した基幹系システムをはじめ、導入済システムの安定稼働とさらなる積極的な利活用の検討を進めます。また、新型コロナウイルス感染症を踏まえた「新しい生活様式」に対応するため、自治体DXの取り組みを推進し、デジタル技術を活用することで、行政サービスにおける市民の利便性向上や業務効率化の検討をすすめます。
Ⅱ「豊かな暮らしを支える活力ある産業づくり」
○1点目は農業についてです。
小郡市が目指すべき食料・農業・農村の姿として、小郡市食料・農業・農村基本計画に掲げる各施策目標の達成に向けて取り組みます。
また、農産物直売所の活性化の支援や、6次産業化、農商工連携の推進を図り、農業所得の増大を図ります。
さらに、多面的機能支払交付金事業を継続して活用し、地域活動や営農活動を推進します。
農業環境の整備につきましては、小郡市地域強靭化計画を踏まえながら、防災重点ため池を中心に、計画的にため池整備や井堰の改修等による防災対策を図ります。
老朽化した農業水利施設につきましては、引き続き、長寿命化の取組を図りながら安定的な農業用水の確保に努めます。
○2点目は商業についてです。
市内における消費を喚起する「地域商品券発行事業」に対する支援や市内の新規創業者や創業希望者への支援など、地域の商業活性化を目指して、商工会と連携して取り組みます。特に、新型コロナウイルス感染拡大により落ち込んだ消費の浮揚策として、プレミアム付き商品券を拡充するとともに、新たにキャッシュレス決済ポイント還元キャンペーンを実施し、市内の事業者の支援に取り組みます。
また、商業活性化の方針等を定めた小郡市商業活性化計画を改定し、市民や事業者等を中心とした地域ぐるみの商業活性化に取り組みます。
○3点目は工業についてです。
市の東西に位置付けている工業等の導入地区については、鳥栖インターチェンジを併設する鳥栖ジャンクション、筑後小郡インターチェンジ及び主要地方道久留米筑紫野線といった交通利便性から、物流系企業の立地が着々と進められています。引き続き、土地利用に関する諸計画に基づく民間開発の支援を積極的に進め、幅広い業種や様々な土地利用の在り方を検討し、地域の活性化を図っていきます。
また、既存の市内企業においても、より一層の事業活性化に向け、生産性向上に係る支援制度の活用を促進する等、効率的な事業推進を図ります。
○4点目は観光についてです。
(一社)小郡市観光協会との協力や地域おこし協力隊の活動により、地域資源を活かした魅力ある観光づくりを進めるとともに、市内外への本市の魅力発信のさらなる充実を図ります。
また、観光協会をはじめ、商工会、JAみいなどの関係団体との連携により、地域資源を活かした特産品づくりに取り組みます。
さらに、小郡市のあらゆる資源の活用を、観光だけでなく農業や商工業などの産業分野にも広め、「にぎわい」をコンセプトに、市全体を「七夕」のイメージでブランディングする「七夕プロジェクト」については、市民の積極的な参画によるイベントや商品開発、情報発信などの取組を強化します。
○5点目は雇用と労働についてです。
ふるさとハローワークや県などの関係機関と連携し、就職支援セミナーの開催などの就業、マッチング支援や雇用、労働に関する相談窓口の情報提供などを行いながら支援に努めます。
さらに、企業誘致の推進や新たな地域の活力となる創業者支援等により、就業機会の創出に努めます。
Ⅲ「ゆとりと潤いに満ちた居住環境づくり」
○1点目は環境衛生対策・環境保全についてです。
市民の生活の安全と良好な住環境を確保するため、公有地において刈り取った雑草の処理については、焼却処分せずに堆肥化し、ごみ減量、リサイクル推進及び地球温暖化防止に資するよう努めます。
また、福岡県の地球温暖化防止活動推進員と協力しながら、省エネ・節電の取組と啓発を通じて、地球温暖化対策を進めます。そして、環境衛生組合連合会などの団体や、市が委嘱するごみ減量リサイクルアドバイザー、ごみを排出する事業者と協力し、リデュース・リユース・リサイクル(発生抑制・再利用・再資源化)の3Rの取組を推進し、資源循環型社会の確立を目指します。
○2点目は、公共下水道事業についてです。
立石区、井上区、下鶴区、今隈区、光行区、平方区、上西区で、引続き下水道未普及地区の整備を進めます。また、浸水対策についても、流域治水による中央雨水幹線の改修を進めます。併せて、供用開始区域内の下水道への未接続者に対する接続推進に努め、下水道普及率、水洗化率の向上を図ります。
○3点目は、小郡市営住宅についてです。
『小郡市営住宅長寿命化計画』に基づき、本年度は市営井上第1住宅の公共下水道への接続工事を実施いたします。
○4点目は、空き家の利活用についてです。
居住環境づくりのひとつとしまして、「空き家の利活用」があります。平成30年度より「空き家バンク」制度を導入し、令和元年度に登録物件の購入・改修・新築等に際する補助金制度を創設しており、引続き空き家住宅の利活用を推進します。
Ⅳ「やさしさあふれる健康と福祉づくり」
○1点目は地域福祉の推進についてです。
第2次小郡市地域福祉計画・地域福祉活動計画に基づき、社会福祉協議会と連携・協力しながら、障がいの有無や年齢にかかわらず、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、分野を横断した包括的な相談支援体制の充実を図ります。
さらに、社会福祉協議会や民生委員児童委員をはじめとする地域の福祉活動の担い手に対する支援を推進し、地域福祉の担い手自身も地域に支えられる「支え合い」の関係を築いていくことで、持続可能な地域社会づくりを目指します。併せて、自治会バスや買い物支援など、地域の主体的な活動を市民協働により進めることで、地域福祉の促進と地域共生社会の実現を目指します。
○2点目は、高齢者福祉についてです。
第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画の基本理念である「地域と共に高齢者を支えるまちづくり」に基づき、高齢者になってもいきいきと生活し、また、支援や介護が必要になっても可能な限り住み慣れた自宅や地域で、安心して暮らすことができるよう、健康長寿を推進していく取組に力を入れて、地域包括ケアシステムの構築により一層努めます。
さらに、急増する高齢者の課題にきめ細やかに対応するため、市内全域を3地区に分け、各々の地域包括支援センターにおいて高齢者のより身近な相談窓口として機能の充実を図ります。
一方、高齢者やその家族を地域ぐるみで見守りながら、高齢者自らが進んで社会参加できるように、校区コミュニティセンターを拠点として様々な事業や交流活動ができるよう、生活支援体制を強化していく方針です。
また、昨年度から検討している「高齢者健康づくり(介護予防)ポイント事業」は、介護予防に資するイベント等への参加やボランティア等の運営支援でポイントを付して、一定ポイント以上は換金等ができる事業であり、社会貢献などの生きがいづくり、地域づくりの次世代育成も兼ねた制度設計を考えています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染状況やワクチン接種状況を踏まえて、新たな取組みの本格稼働時期は慎重に調整したいと考えています。
さらに、「認知症にやさしいまちづくり」の一環として、住民ボランティアによる認知症カフェ運営の支援に努め、地域との協働事業としてコミュニティセンターを活用した「認知症カフェ」の拡大に努めます。
併せて、小学校での認知症サポーター養成講座を継続し、子どもたちに認知症への正しい知識と理解をひろげる取組を進めます。
○3点目は、子育て支援についてです。
小郡市子ども・子育て支援事業計画(第2期)の理念である子どもの権利の尊重に基づき、幼児教育・保育事業、ひとり親家庭や特別な配慮を必要とする家庭や子への支援、児童虐待防止の推進、子どもの貧困対策について取り組みます。そして、子どもの健やかな育ちと保護者の子育て支援を地域全体で支援する取組を進めます。
事業実施にあたっては、新型コロナウイルス感染症対策をとり、安心して子育て支援サービスが利用できる環境整備に努めます。
保育所・幼稚園では、新型コロナウイルス感染症対策として消毒作業等に従事する人員の配置や消毒液やマスク等購入の補助を引き続き行っていきます。
教育・保育事業につきましては、幼児教育・保育の無償化などの社会環境の変化に伴う子育て家庭のニーズに応じた多様な教育・保育サービスを提供できるよう環境整備に努めるとともに、課題となっている保育士不足につきましては、潜在保育士研修や保育士就職支援金などさまざまな取組により、保育士の確保に努めます。
放課後児童クラブでは、新型コロナウイルス感染症に対する強い体制を整えるため、業務のICT化を推進するとともに、オンライン研修を行うための環境整備を行います。
また、昨年度から始まった小郡市学童保育所連合会(NPO法人学童保育おごおり)の運営支援を、引き続き行います。
○4点目は、障がい者福祉についてです。
第3期小郡市障がい者計画に基づき、障がい者をとりまくさまざまな障壁を解消していく取組を進めます。また、第6期小郡市障がい福祉計画及び第2期小郡市障がい児福祉計画に基づき、障がい福祉サービス及び障がい児通所サービスの提供の質、量の確保に努めます。さらに、令和3年度より地域生活支援拠点等事業を開始し、障がい者等の生活の支援を図ります。
また、「小郡市自殺対策計画」に基づき、「誰も自殺に追い込まれることのない小郡市」を目指し地域全体での自殺対策の推進に取り組みます。
さらに、発達巡回相談事業により、発達障がいの早期発見・早期療育に取り組みます。
また、子育て世代包括支援センターと子ども総合相談センターの連携体制の充実を図り、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない継続した支援体制に取り組みます。
○5点目は、人権・同和対策についてです。
市民一人ひとりの人権が尊重される明るく住みよいまちづくりを目指して、第2次小郡市人権教育・啓発基本計画に基づき、関係機関・団体と連携しながら、より一層の人権教育・啓発を推進します。また、依然として厳しい部落差別が存在することを踏まえ、地域住民の生活の安定と福祉の向上を図るため、生活実態の把握に努めながら、教育・就労・健康等の課題解決に向けて、引き続き取り組みます。
さらに、人権が侵害された場合における被害者救済のため、一日も早い「人権侵害の救済に関する法律」の制定に向けて取組を進めます。
○6点目は保健活動についてです。
新型コロナウイルスワクチン接種体制を整備し、接種率の向上に努めます。
また、新型コロナウイルス感染症について、感染者情報や感染予防対策情報等、速やかな情報発信を行います。
保健活動については、新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、総合保健福祉センターあすてらすを拠点として、健康の保持・増進や疾病の予防・早期発見に努め、生涯にわたる健康づくりを引き続き推進していきます。
母子保健事業については、子育て関係部署との連携を行いながら、コロナ禍での妊娠・出産・子育て支援のため、相談教室事業や産後ケア事業の充実に取り組みます。
生活習慣病に関しましては、特定健康診査・保健指導の受診率向上に努めるとともに、早期発見・早期治療を強化するために、個別健診の検討を行います。また、地域における健康運動教室の新規開設を支援します。
併せて、第2次健康増進計画・第2次食育推進計画(おごおり健康・食育プラン)について、令和4年度の中間評価に向けた実態調査を行います。また、健康づくりへの動機付け支援としてのインセンティブ導入について、高齢者健康づくり(介護予防)ポイント事業の対象に、健康づくりに関する事業を追加していくことで、広く市民の健康づくりにつなげていきます。
○7点目は医療体制についてです。
子ども医療の通院費の助成について、3年度より中学生まで拡充しました。今後も、子ども医療・ひとり親家庭等医療・未熟児養育医療など医療面においても子育て世帯への支援を行っていきます。
また、重度障がい者医療についても、3年度より入院費の助成について中学生まで拡充しています。
後期高齢者医療についてはKDBシステムを活用し、対象者の状態を確認しながらきめ細かな支援を行い、多くの高齢者の方に安心して医療が受けられるよう支えていきます。
また、関係機関と連携・協力しながら、地域医療体制の充実を図るとともに、休日・夜間の医療体制や小児救急医療の体制整備に努めます。
○8点目は社会保障制度についてです。
国民健康保険事業につきましては、財政運営の責任主体である県とともに、「福岡県国民健康保険運営方針」に基づいた運営を行います。また、元年度決算におきまして累積赤字は解消しましたが、今後も国民健康保険の安定的運営のため、将来の財政状況を見据えた事業運営に引き続き取り組みます。
国民健康保険事業の医療費適正化については、第3期小郡市特定健康診査等実施計画に基づき、特定健康診査の受診率向上を図ります。また、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防の仕組みを活用し、健康づくりを推進します。
さらに、レセプト点検をはじめ、柔道整復・はり・きゅう等の患者に対する調査や、ジェネリック医薬品の利用促進並びに頻回・重複受診、重複服薬に対する保健指導などによって、医療費の適正化をさらに進めます。
また、保健事業実施計画(データヘルス計画)におけるデータ分析に基づいて被保険者の健康課題等を把握したうえで、より効果的な保健事業を実施します。
次に、生活困窮者に対する支援につきましては、生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮世帯の自立支援に関する総合的な相談や就労支援等、包括的かつ継続的な支援を行い、生活の自立促進に努めます。さらに、複雑な問題を抱えた生活困窮者、生活保護世帯に対し、家計改善に加え、就労準備や一時生活への支援など、伴走型支援の強化を図ります。
Ⅴ「生きる力を育む教育と地域文化づくり」
○1点目は、学校教育についてです。
学校教育につきましては、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育み、子ども達のたくましく生きる力の育成に努めます。そこで、個に応じたきめ細かな指導が出来るよう、市独自に学力向上支援員を配置するとともに、学習支援員とスクール・サポート・スタッフを配置し、感染症対策を講じながら教育活動を継続する体制を整え、学力向上・学力保障の支援を図ります。
スクールソーシャルワーカーにつきましては、2名体制で、不登校などの対応や子どもの貧困対策の充実を図るとともに、学校の指導・運営体制の充実を図ります。
特別支援教育では、その充実を図るために支援員を配置するとともに、教職員の研修を行います。
小規模校におきましては、オンライン英会話の実施や小・中連携によるICT機器の活用促進により、特色ある学校づくりを進めます。
GIGAスクール構想に基づき整備したひとり1台の端末を活用して学びを深め、児童生徒の情報活用能力の育成を推進します。
さらに、地域とともにある学校づくりを目指し、コミュニティ・スクールの取組を市内全小中学校で充実させるとともに「小郡の子ども共育10の実践」の推進を含め、学校、家庭、地域が連携・協力して子どもを育てる取組を進めます。
施設整備につきましては、大原中学校特別教室棟の大規模改造工事を行います。また、小中学校5校において、体育館トイレ改修工事を行います。また、GIGAスクール構想の推進に向けた環境を整備し、ひとり1台の端末を活用し新学習指導要領の実施に対応したICT教育環境の充実に努めます。
そして、総合教育会議を開催し、教育委員会と十分に意思疎通を図り、教育行政を推進します。
学校給食につきましては、今後も学校給食施設の効率的な運営を進めていきます。また、学校給食における食育の推進のために、学校・家庭・地域との連携・協力を図り、地元の食材を学校給食に取り入れ、「生きた教材」として「食の重要性」や「感謝の気持ち」を育む取組を引き続き行います。また、学校給食衛生管理基準に沿って、安全で安心できる給食の提供に努めながら学校給食の充実を図ります。
○2点目は、青少年教育についてです。
市内の社会教育活動団体・青少年健全育成団体と連携・協力を図りながら、子どもの体験活動や居場所づくりを推進していきます。
また、家庭の教育力向上のために、家庭教育学級「織姫☆彦星キャンパス」の開催や「ようこそ赤ちゃん教室」での家庭教育講話の実施など、学習機会の提供を行いながら、「基本的な生活習慣づくり」の啓発を行います。
○3点目は、人権・同和教育についてです。
市民一人ひとりの人権が保障され、誰もがかけがえのない人間として尊重される差別のない明るい社会の実現を目指して、人権・同和問題市民意識調査から明らかとなった課題や人権教育・啓発推進法、部落差別解消推進法等の人権に関する法令の目的を踏まえ、学校や地域における人権・同和教育の取組を推進していきます。また、同和問題をはじめ、あらゆる人権問題の解決に向け、「人権のまちづくり」や「校区人権問題啓発推進委員会」等の地域活動を担う関連組織とも連携を深めながら地域啓発を進めます。
さらに、社会的・経済的理由によって学習の機会が少なく、十分な学力を身につけることができない子どもたちを含むすべての子どもたちの基礎・基本の力と自学自習の力を身につけることを目的に、学び場支援事業を全小・中学校で実施し、子どもたち一人ひとりの学力・進路保障に取り組みます。
○4点目は、生涯学習についてです。
“自分ならでは”の「夢や願い」、「志」を持って目標にチャレンジできるよう、多様な学習機会や情報及び環境を提供します。特に、「女性活躍社会」や高齢者を含めた「地域共生社会」については、現代的・社会的な課題と捉えその促進を図るととともに、「学び」を地域や社会での「活動」に生かすことができるよう育成・支援を行います。
また地域の知の拠点、地域を支える情報拠点として、図書館機能の充実を図るとともに、年代に応じた読書環境の整備・充実を図ります。特に「家読(うちどく)」の浸透を図るため、読書ボランティア団体の支援や、読書ボランティアの育成を進めます。
また、本好きの子どもを増やすため、学校と連携して読書活動の推進を図ります。併せて「読書バリアフリー法」が目指す、すべての市民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵みを享受することができるよう、デジタル録音図書、布の絵本、大活字本等の提供による図書館サービスの向上に努めるとともに、郷土資料及び地方行政資料の電子化に取り組むなど、より便利で身近な図書館の実現のため、さらなる機能の充実を図り、「読書で未来を拓くまち おごおり」を目指します。
○5点目は、文化活動の振興についてです。
永く受け継がれてきた文化や伝統など「ふるさと(郷土)のよさ」に学ぶ・触れるといった文化芸術活動への参加機会を提供するとともに、情報の発信や環境の整備を行います。また、各地域・団体における様々な文化芸術の公演、展示等に対する支援を行うことで、市民全体の文化芸術活動を推進します。
○6点目は、文化財保護の推進についてです。
文化財を貴重な財産として未来に残し活用するため、小郡市歴史文化基本構想に基づき、市指定文化財である松崎油屋や小郡平田家住宅の活用を行い、地域の歴史と文化を町づくりに活かします。また、小郡市史の副読本「ふるさと小郡のあゆみ」(改訂版)の活用を推進し、幼稚園、保育所(園)、小中学校への授業支援やジュニア歴史博士作品の募集などを実施し、郷土に愛着と誇りをもつ心を育てます。
○7点目は、スポーツ・レクリエーションの振興についてです。
スポーツを通したまちづくりの振興を図るため、スポーツ推進基本計画に基づいた施策を実施します。地域スポーツを推進するため、コーディネーター役であるスポーツ推進委員の活動支援や、一般社団法人小郡市スポーツ協会、総合型地域スポーツクラブなどのスポーツ団体や地域団体と連携・協力体制の構築を図ります。
特に、小郡市スポーツ協会につきましては、自主・自立した運営体制の構築に向け、引き続き支援を行い、市とスポーツ協会それぞれの役割を明確にし、車の両輪となって小郡市全体のスポーツを推進します。
また、平成29年度に中谷選手、元年度に猶本選手を任命した小郡市ふるさとスポーツ大使によるスポーツ教室での指導・交流などの機会を設け、市民へスポーツの魅力を発信します。
なお、新総合体育館建設の取組につきましては、市民や利用者のニーズに即した施設として財源確保等について検討し、整備着手する方針で進めます。
○8点目は国際交流と多文化共生についてです。
外国人と日本人が同じ地域に生活する住民として、ともに安心して暮らすことができる多文化共生のまちづくりを目指して、小郡市多文化共生推進プランを策定します。おごおり国際交流協会と連携し、「国際理解講座」や「おごおり日本語教室」など、国際理解・国際交流事業を推進します。
また、おごおり国際交流協会の設立20周年を契機に「おごおり多文化共生推進大会」を開催し、国際理解・国際交流から一歩進んだ多文化共生のまちづくりを目指します。
○9点目は男女共同参画社会についてです。
第2次小郡市男女共同参画計画に基づき、男女共同参画社会の実現に向けて施策を推進し、一人ひとりが認め合い、いきいきと輝くまちづくりに努めます。
おごおり女性協議会と連携した「おごおりフォーラム」での講演会などを通じた啓発を推進し「女性が活躍する小郡市の実現」を目指します。
Ⅵ「新たな小郡市の地域自治体制づくり」
○1点目は、市民と行政の連携・協力体制の構築についてです。
「市民起点」で考える市政運営を行うため、市民との対話の機会として「市民と市長の対話集会」などを実施していきます。さまざまな方々との対話を通じて、市政の方向性や考え方、市が進めている施策などについて市民へ直接説明し、市民の声に耳を傾け、市民起点の市政運営に努めます。
また、行政情報の公開を推進し、開かれた市政運営に努めるとともに、市民と情報を共有することで、市民の市政への積極的な関わりを推進します。
○2点目は、新たな地域自治についてです。
これからの小郡市には、市民が主体となって担い合う地域づくりが求められます。さまざまな団体や個人が関わることで、さらに豊かで持続可能なまちづくりを進められるよう、担い手の育成や主体の支援、それぞれの思いや関わり方を共有することができる場づくりを進めていきます。
このような方針のもと、令和3年度はまちづくり条例の作成作業を本格化します。作成委員会に加え、市民ワークショップやフォーラムなどを行い、プロセスを大切にしながら市民の皆様と共に作業を進めます。
協働のまちづくり推進事業においては、引き続き協働のまちづくり組織への支援を行います。その地域の課題や特性を踏まえた活動に対し、財政的・人的支援等を行うとともに、将来を見据えた地域ビジョンの作成を支援します。
加えて、さまざまな団体や個人がまちづくりに関わるきっかけとするため、まちづくりに関する講座や学びの場を創出します。
市民活動の活性化にも、積極的に取り組みます。「市民提案型協働事業」では、市民活動団体と協働することで、効果的な地域課題の解決を図るとともに、市民活動団体の育成支援を行います。
また、「小郡魅力化計画」や、交流事業「まち×ひとカフェ」では、市民一人ひとりのまちへの興味や問題意識を活動に結び付けるきっかけをつくり、市民活動の担い手育成を図ります。さらに、事業をとおして人と人をつなぎ、互いの交流・連携を促します。
コミュニティセンターでは、講座や事業の実施をとおして地域に求められる機会や場を提供するとともに、地域活動の支援やネットワークづくりを推進するなど、まちづくりの拠点としての機能を高めます。また、リモートツールの活用など、コロナ禍に伴う新たな生活様式への対応をふまえた学びの場の提供を推進します。
○3点目は、健全な行財政運営についてです。
市民から信頼される市政運営を確保し、市民の公共的な利益保護を図るため、コンプライアンス条例に基づき、法令を遵守した公平かつ公正な職務の遂行と不当要求行為等の排除に努め、コンプライアンス体制をさらに推進します。
行財政改革の推進につきましては、「小郡市行政経営アクションプラン」の最終年度となります。時代の流れや変化に適した行政サービスを提供できる、より効果的、効率的、そして柔軟な財政運営を確保するため、新たな計画を策定し、更なる行財政改革を推進します。
また、令和元年度に策定した、2年度から4年度までの3年間を計画期間とする「小郡市緊急財政対策計画」に基づき、財政健全化に向けた取組を、継続して全庁一丸となって組織的に推進していきます。
また、税負担や公共料金の公平性の観点から、滞納者等に対する納税・納付意識の啓発と徴収強化を行うなど、自主財源の確保を強化し自主自立した行財政運営の確立に向けて着実に取り組みます。
公共施設等の総合的かつ計画的な管理の方針を定めた小郡市公共施設等総合管理計画に基づき、予防保全型管理の視点で10年間の補修計画を兼ねた個別施設計画(長寿命化計画)により計画的な維持管理を行います。加えて、改修等の事業を行うに当たっては、公共施設等適正管理推進事業債等を活用しながら、財政負担の軽減・平準化を図ります。
また、今年度は公共施設等総合管理計画の計画期間の中間年度のため見直しを実施します。
また、公共施設等の整備に際しては、令和元年度に策定した「小郡市PPP/PFI導入指針」に基づき、PPP/PFI手法の導入を優先的に検討することとし、民間の創意工夫を活用しながら、財政資金の効率的使用や行政の効率化を図ります。
職員の人材育成につきましては自発的・主体的に行動する職員の育成を目指し、各種研修などを通じて、職員の意識や課題解決能力の向上に努めます。
○4点目は、地方創生についてです。
将来予測される人口減少に対応するため、第2期小郡市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、地方創生の一層の推進に向けて取り組みます。これまでの交流人口の増加、移住・定住の促進に向けた取組に加えて、特定の地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」の創出・拡大についても、推進していきます。
ふるさと納税につきましては、さらなる寄附額の増加、市内事業者の支援、シティプロモーションを3つの柱として、取組みを進めます。農業、商工業など小郡市が一体となって取り組むことで、地域の「稼ぐ力」の向上をめざします。
おわりに
以上、令和3年度の市政運営に臨む私の所信の一端と主要施策の概要について申し上げました。
市民のみなさま及び議員各位の一層のご理解、ご協力とご支援を賜わりますようお願い申し上げまして、私の施政方針とします。